タイムの効力
先日、高校野球新人選の県大会決勝を観戦に出向いた。球場まで電車を乗り継ぎ約2時間、スタジアムの素晴らしさに感動しながらネット裏に陣取った。全国的に有名な古豪に対し、地元から初優勝を期待される公立高校との対戦である。まったく知り合いもなく、両チームへの思い入れもないため、一高校野球ファンとしてバックネット裏中央で観戦することとした。

非常に立派な球場での県大会決勝戦の割には、グラウンド整備を両チームの選手が行ったり、ホームベース周りのラインを大会役員と思われる方々が引いたりしていた。誰が整備をしても、試合に相応しい状態になれば良いのだが、バッタースボックスやキャッチャーズボックスが曲がっていると、ちょっとガッカリしてしまう。

野球がメッカと思われている地域の決勝戦であるから、審判員の動きにも注目しながら観戦したが、球審の構えはボックススタンスであり、捕手が捕球したと同時にコールする「早業」など、どちらかと言うと「オールドスタイル」であり、参考にすべき新たな動きを見出すことは出来なかった。

スタジアムのフェンスは高くファウルエリアは人工芝で広いため、ファウルボールが転々とフェンス沿いに外野奥まで達してしまう。ファウルボールが飛ぶたびに、ライトやレフトの選手およびダッグアウトから選手が、打球を処理するために走る。

このような状況で、試合序盤にプチ珍プレイがあった。
レフト線への強烈なファウルボール後、球審は新しいボールを投手へ渡した。投手はボールを手にしてプレートを踏み、両手を胸で合わせたため、球審がプレイを宣告して投手が投球モーションを起した。ところが、ファウルボールの処理をしたレフトがポジションへ戻る途中であり、それを見ていた三塁塁審が慌てて内側へ大きく切れ込み「タイム」を宣告した。釣られて一塁塁審も「タイム」のゼスチャーを起こしかけたが、投手は気付かず投球し、球審も気付かずに「ボール」をコールしてしまった。この時点で、初めて三塁塁審の「タイム」に気付いたが、球審はバツ悪そうに「ボール」をカウントし、何も無かったかのようにゲームを進めた。

このケースで、もしも打者が投球を打っていたならばプチ珍プレイでは済まされない。もしも打者が打って本塁打にでもなったならば、当然守備側は「タイム中」を主張するであろう。

ここでの処置はバツが悪かろうがリセットするべきであった。「何も無かったから、そのままプレイを続行させた」は良さそうに思われるが、もしかすると打者の耳に「タイム」の声が聞こえていたのかもしれない。それにより打撃動作を中断していたのかもしれない。
ルールブックには、ダッグアウトから「タイム」などを叫ぶことで投手の投球に影響があった場合はリセットするルールがある。

【4.06 競技中のプレーヤーの禁止事項】(a 3)ボールインプレイの時に「タイム」と叫ぶか、他の言葉または動作で明らかに投手にボークを行わせようと企てること。(ペナルティ)審判員は反則者を試合から除き、競技場から退かせる。なお、投手がボークをしても無効とする。

またタイムの効力は審判員が「タイム」をコールした時であり、要請した時でも、同調した時でもない。つまり、このケースは「タイム」が成立しており、投球前にリセットするべきであった。

【5.10 ボールデッド】(d)【注】(前略)なお、「タイム」が発効するのは「タイム」が要求された時ではなく、審判員が「タイム」を宣告した瞬間からである。

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