度忘れ

2010年5月18日 スポーツ
北海道の球児にとって、ゴールデンウィークは開幕を意味する。この連休を利用して、様々なカテゴリーが一挙に開幕する。我々審判員も、いきなり商売繁盛である。
連戦が続いたため、早くも疲れのピークを迎えてしまった。
加えて右足かかとの故障の影響から、色々な箇所に痛みや違和感が発生している。毎日、長時間のアイシングで回復を図るが、年齢から来る体力と回復力の衰えは隠しきれない。
サポート力の強いソックスを履き、ふくらはぎにはテーピングを施し、膝には固定用のサポーターをしてゲームに挑んでいる。当然ではあるが、昨年までの動きはできない。「動きにキレがない」状態が続いている。仲間からも心配されているが、歯痒い思いでいるのは自分自身が一番である。いつものように「走れない自分」が、悔しくてならない。
それでも、開幕当初から比べると、徐徐にではあるが、右足かかとの状態は快方に向かっているように感じている。暫くは、騙しながらやるしか無さそうである。

先日、球審をやっていて面白い経験をした。と言っても、そのことが発覚した時は恥ずかしくて、思わず苦笑いで誤魔化した。
地方球場での試合。「地元チーム」対「遠征チーム」の試合である。
「遠征チーム」がある回の先頭打者に代打を起用した。代打は張り切って打席に入り、その回が始まった。その代打がどのような結果であったかは憶えていないが、とりあえず、その回の「遠征チーム」の攻撃は終了した。
試合は進み、また「遠征チーム」の攻撃となった。プレイをコールしようとした時、本部席から声がする。しかし、意味が解らない。
「さっきの代打は、どうなったの」
その前の回の「地元チーム」は、代打は起用していない。何を言っているのやら、と考えていると、はたと気付いた。
遠征チームの代打が、その後どうするのかを聞くのを忘れていたのである。慌てて、遠征チームの監督の下へ向かうと、監督も一瞬戸惑いの表情。次の瞬間には、「すいませんでした」となり、「そのまま、セカンドに入っています」。

その代打は「打順と守備位置」を引き継いで、そのままポジションへ入り「地元チーム」の攻撃回を終了してしまったのである。
これはルール違反であるろうか。その代打が、守備位置を言うところまで、試合を「巻き戻す」必要があるのであろうか。
当たり前だが、そんなことは出来ない。
「地元チーム」が得点していたとしたら、「さっきの回の攻撃は無効だから、得点は認められません」などとなったら大騒動である。
では、どの程度であれば「巻き戻し」が可能なのであろうか。
答えは、「巻き戻せない」が正解である。
「一球投げたら、交替は有効」でもない。ボールがまったく、動かなくてもポジション変更は有効となる。

野球規則の【3.00 試合の準備】に、以下のようにある。
【3.07】交代通告を受けた球審は、ただちにその旨を自ら発表するか、または発表させる義務がある。
【3.08】交代発表のなかったプレーヤーの取り扱い
(a)代わって出場したプレーヤーは、たとえその発表がなくても、次のときから、試合に出場したものとみなされる。
(1) 投手ならば、投手板上に位置したとき。
(2) 打者ならば、バッタースボックスに位置したとき。
(3) 野手ならば、退いた野手の普通の守備位置についてプレイが始まったとき。
(4) 走者ならば、退いた走者が占有していた塁に立ったとき。
(b)前項で出場したものと認められたプレーヤーが行ったプレイ、およびそのプレーヤーに対して行われたプレイは、すべて正規のものとなる。

体調が優れないためか集中力が欠けているのであろう、次の回まで交替を忘れてしまうとは、度忘れにも程がある。
今回はルールに助けられたことで、大過なく終われた。

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