一塁塁審のリミング
第3版の審判メカニクスハンドブックを入手した。
早速、第2版との違いをチェック。これも、オフシーズンの楽しみである。そのうち、ルールブックの改訂版が発行されるが、これもまた楽しみである。
今回のメカニクスの改訂は、2005年以来4年振りの変更である。
その目玉が「リミング」であり、以下のように定義されている。
【リミング】
一塁塁審が、一・二塁を結ぶラインの外側から、一・二塁のプレイに備える動きをいう。
状況は、走者二塁、走者三塁、走者一・二塁、走者一・三塁、走者二・三塁、満塁の場面で、中堅手から左側の外野飛球を三塁塁審または二塁塁審が追った場合。

このリミングの流れは、2008年の全国の審判講習会に参加した際に、教えていただいた動きであった。たった1日の講習会であるため説明時間が短く、その動きのメリットなどの説明がないままであったことから、「こんな動きもあるのだ」と思いつつ、必死にメモだけは残していたようである。
昨年、一塁ベースの空過事件があり、我々審判仲間で作った倶楽部において、大変に話題になったのか「リミング」であった。
走者満塁などで、二塁塁審が内側に位置している状況で、中堅より左側に飛球が飛んだ場合、球審はステイ状態で、二塁と一塁がカウンタークロックワイズの動きとなる。反時計回りに走者を追いかけるように動くのである。
従来の一塁塁審の動きは、一・二塁間の延長線上より内側、それも出来る限りマウンド寄り走り込むように指導されてきた。これが、なかなかできない。一塁走者や一塁手、そして打者走者の動きを気にしていると、内側へ切れ込むタイミングを失ってしまうのである。なかなか、内側から一塁と二塁の触塁を確認することが出来ずにいた。
ようやく、余裕を持って動けるようになってきた矢先に、若手審判員から疑問を投げかけられた。
「内側に入った一塁塁審が、ベースの内側を蹴る打者走者の触塁を確認出来るのでしょうか」というのが疑問であった。
なるほど、道理である。
一塁塁審がフォースアウトのポジショニングとして、最初に教えられるのが、「送球に対して直角の位置」である。これは、角度の重要性を教えるために最適なケーススタディである。
つまり、ベースと走者と審判員が直線上に並ぶ位置は、決して好ましくないということであり、その位置では、まったく角度がとれていないポジショニングということである。
しかし、従来のメカニクスでは、どんなに頑張っても、一塁も二塁も、触塁確認には角度が十分とはいえない。少しでも審判員を経験した方ならば、「あの位置で見えるのか」と疑問符を打つであろう。

昨年の秋に、我が倶楽部で、ひとつの試みを行うことにした。それが一塁塁審の「リミング」であった。自分たちの勉強会で、ベストポジションを模索したりした。また、打球の方向によっては、走者の触塁は見えても、打球の行方を見失う可能性もあることにも気づいた。つまり、一・二塁間の延長線上より左翼側はリミングの位置で良いが、中堅よりの打球の場合は、ボールの行方を確認しにくいことが分かった。
この判断は難しいが、要は「ボールを正面に置く」という動作の基本に立ち返ることなのであろう。そうすれば、自然とベストポジションに立つことができるようになるはずである。
今年は、正式に「リミング」で動くことが許されると喜んでいるのであるが、果たしてどうなることやら。
それでも、私は「リミング」で動く。それは、自然な動きであるから仕方がないのである。

コメント

nophoto
baseball-papa
2010年2月15日14:05

こんにちは。「リミング」の記事、引用させていただきました。何かありましたらお教えください。宜しくお願いします。

ファウルボール
2010年2月15日19:49

baseball-papa様
私の稚拙な文章でよろしければ、どんどん引用頂いて結構です。
逆に、指摘事項があれば、教えていただけると助かります。
今後とも、よろしくお願いいたします。

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