大リーグの珍事
8月23日ニューヨークのシェイスタジアムにおけるニューヨーク・メッツとフィラデルフィア・フィリーズの一戦で、長い大リーグの歴史の中で二人目となる珍記録があった。
9回裏、メッツが1点を返してフィリーズ9―7メッツとなり、なおも無死1・2塁の一発出れば逆転サヨナラの場面。
メッツのジェフ・フランコアーの打球は二塁へのライナーとなり、二塁ベース寄りに守っていた二塁手エリック・ブラントレットのグラブにすっぽり納まった(1アウト)。この打球につられて飛び出していた二塁ランナーは帰塁できず、ブラントレットは二塁ベースを踏んで2アウト。さらに二塁ベース手前にまで達していた一塁ランナーにタッグして3アウト。なんと、一人でトリプルプレーを達成した。「アシストなしのトリプルプレー」はブラントレットで15人目だが、「このプレイで試合終了」というのは大リーグ史上2回目の快挙である。

この記事を目にして最初に思ったことは、「このプレイのジャッジは誰がジャッジしたのだろうか」であった。つくづく、審判が好きなのだろうと呆れている。

走者1・2塁であるから、二塁塁審は内野手よりも内側に位置している。二塁ベース付近のライナーであり、二塁塁審の目の前で起きたプレイであるから、「Catch OUT」は二塁塁審がコールしただろう。
2アウト目は二塁走者のリタッチが早いことへのプレイであり、二塁塁審の責任範疇であるから引き続き「He’s OUT」を宣告したと思われる。
3アウト目も一塁走者に対する二塁手のタッグプレイであるから二塁塁審が良く見えているであろう。
文章で書くと、行間があり余裕を感じるが、この一連のプレイはほぼ一瞬のうちに行われている。だからこそ、大リーグ史上2度目の珍事なのである。時間が掛かっているようでは、走者が戻るか、ランダウンプレイとなっていたであろう。
その一瞬のプレイを、ひとりの審判員が連続してジャッジしコールしているのである。考えただけで、面倒な気がする。
「アウト、アウト、アウト」と連続してコールするのも素人くさい気がするし、あまり間をおくのと、次のアウトと重なる気がする。だからといって、こんなプレイを予想する方がナンセンスなような気もする。

我々の組織では、連続して一人の審判員がコールすることを防ごうと、互いに補佐する習慣付けを春先から行った。
走者がいて二塁塁審が内側にいるケースで、内野にハーフライナー(直接捕球か否かの判定が必要な打球)が飛んだ際に、基本的には球審が前に出て「キャッチアウト」または「ノーキャッチ」の判定をするのである。それにより、その後に起こる走者へのプレイに対して塁審が余裕を持つことが可能となると考えている。
しかし、これも万能ではない。一番の問題点は、プレイの発生している地点と、それをジャッジしている球審のポジションが遠いことである。二塁手の位置で起きているプレイに対し、本塁よりやや前で「ノーキャッチ」とやっても、選手も観客も皆がボールの行方を追っているため見ていないことが多いのである。なんともピエロ的な動作に写ってしまう気がしている。
では、そのサイドにいる塁審がジャッジするのはどうであろうか。これは、まだ選手や観客に訴えるジャッジかもしれない。
ただし、「オープン・グラブ・ポリシー」の基本からは外れている。

今年、我が組織の試合で、これに関わる珍プレイがあった。
走者1・2塁の場面で二塁へのハーフライナーが飛んだ。二塁手が前進し処理したがショートバウンドとなった。その瞬間、球審・一塁塁審および二塁塁審が同時に「ノーキャッチ」をトリプル・コールしたのだ。
球審は自分の判定範疇と考え、一塁塁審は補佐しようと考え、二塁塁審は目の前のプレイを判定した結果であった。すべてが「ノーキャッチ」であったから良かったが、一人でも違うコールをしたら、どうなっていたかと考えると背筋が寒くなる。

それにしても、一人のプレーヤーによるトリプルプレイも珍記録だが、一人の審判員が連続して3つのアウトを宣告したのも「珍記録」なのであろう。

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