今年最初の審判講習会が開催された。講師はセリーグ審判員の木内氏と国際審判員の熊沢氏。木内氏の講習会は、今年で3回目になる。座学を1時間30分ほど行った後に、日本ハムの室内練習場で実技を行った。今年の公式戦を終えて、早1ヶ月以上が経過しているが、人間の感覚とは恐ろしいもので、技術を習得するのには多大な時間を要するのに対し、忘れるのはあっという間とはこのことかと思い知らされた。シーズン中は、あれ程考え、あれ程動いていたのに、一歩が出ないのである。講習会ということで、試合と同じような緊張感が湧いてこないのもある。また基本動作の復習が中心であるから、のめり込めないのもあるが、あまりに動けないのには正直ショックであった。自分の中では、2週間前の「ぎっくり腰」のせいにしたいのだが、自分に嘘は吐けないし、吐いたところで自分が情けなくなるだけだ。
途中から、何か吸収できるものはないかと耳を立て、目を皿にすることとにした。
一つ目は、確認事項であった。審判員の基本動作である「GO−STOP−CALL」を例のごとく、繰返し実施した。数日間実施される審判講習では、この基本動作を何時間もやり続けるらしい。それ程、大切な動作なのである。確かにこれが出来るようになれば、ジャッジの正確さはさておき、審判員として周囲に認知されることは間違いないであろう。その中で、「GOは右足でスタート」と「STOPは左足から1・2で正対」を再確認した。春先の講習会で反復練習し、判ったつもりで何となく実戦に入っていったが、シーズンオフに改めて基本動作のチェックをすると、「今年、この動作が出来ていたのだろうか」と不安になってしまった。本当に、人間の記憶はあいまいである(私は特にそうかもしれない)。
二つ目は、今後軌道修正が必要な項目。ここでも書いたが、「セーフは早く、アウトはゆっくり」がジャッジのタイミングの基本であるが、「セーフは慌てず、しっかり確認」が必要のようである。つまり、あまりに早くコールしようとすると、慌ててしまい、コールやジェスチャーが雑になってしまうようである。タイミング的には、確認事項の多い「アウト」のコールよりも早くなるのであろうが、落ち着いてしっかりと「LOOK」する必要がある。多少ゆっくり目にやったとしても、「アウト」のように確認項目が多くはないので、必然的に「アウト」コールよりは早くなるのだということである。選手や観衆には、判らないが審判には判る間合いであるが、これが決まると選手や観衆も納得しやすいタイミングなのだということである。実に奥深い。おそらく、これを読んでいる方には、この微妙なタイミングは分からないであろう。言葉では伝えきれない「間合い」である。
三つ目は、スロットポジションのちょっとした違いである。がしかし、これには目からウロコであった。スロットポジションは、捕手と打者の「隙間」に位置することで、ホームベースがすべて見え、かつアウトコースの低目が確認できるメリットがある。その際にホームベースのインコース側のラインが身体の中心になるように立つように指導されてきた。しかし、忠実にこれを実践しようとすると、捕手がアウトコースに構えた場合、自分の前に何もない状況となってしまう。捕手の構えたミット目掛けてボールが来てくれれば良いが、当然逆球もある。この逆球を打者がファウルチップでもしようものなら、当然のように直撃である。これは当然のように「恐怖感」が先に立つ。何事もなければラッキーとしか言いようがない。この様なことがあった試合後のミーティングでは、控の審判員に助言を求める。「こんな場合は、どうしたらいいだろうか」と。何人かの審判員と話し合い出た結論は、「実戦の中で修正しながら、つまり捕手側へ移動しても良いのではないか」であった。しかし、これも感覚的なものであった。基準が欲しいと思っていた。
その答えが、「捕手の中心に、自分のアウトコース側の肩の位置を合わせる」である。これなら、身体が半分以上捕手に隠れる。ただし、最大ホームベースの中心よりアウトコースへは寄らないのが原則のようではある。
要は、捕手と打者の隙間に入り、ホームベースが良く見えて、アウトローが良く見える位置に移動することができれば良いのだ、と勝手な解釈をすることにした。
四つ目は、コールのタイミングを再確認した。シーズンも深まってくると、色々な事が雑になってくる。人間慣れることは恐ろしい。「ベテラン」と呼ばれるようになると、大体が「怪しい領域」へと足を踏み込む。球審のジャッジの大半を占めるのが「ストライク・ボール」である。このコールが、徐々に早くなってきていることは、薄々は感じていた。それは、一番大切な基本動作を省略していたからだと気付かされた。
この基本動作が「トラッキング」である。投手の投球が、捕手のミットに収まるまで、目だけで追い続ける動作である。頭を動かしてはならない。目の玉だけを動かすのである。ミットにボールが収まった後、今の投球を頭の中でリプレイし、軌道を再確認してからコールするのである。これは、ストライクもボールも同様の動作となる。
「トラッキング」を一試合続けると、目の玉が痛くなる。それ程、大変な作業ではあるが、これを実践できた時に「コールの間合い」が一定するようだ。
冬の間に、どの程度トレーニングが積めるであろうか。
途中から、何か吸収できるものはないかと耳を立て、目を皿にすることとにした。
一つ目は、確認事項であった。審判員の基本動作である「GO−STOP−CALL」を例のごとく、繰返し実施した。数日間実施される審判講習では、この基本動作を何時間もやり続けるらしい。それ程、大切な動作なのである。確かにこれが出来るようになれば、ジャッジの正確さはさておき、審判員として周囲に認知されることは間違いないであろう。その中で、「GOは右足でスタート」と「STOPは左足から1・2で正対」を再確認した。春先の講習会で反復練習し、判ったつもりで何となく実戦に入っていったが、シーズンオフに改めて基本動作のチェックをすると、「今年、この動作が出来ていたのだろうか」と不安になってしまった。本当に、人間の記憶はあいまいである(私は特にそうかもしれない)。
二つ目は、今後軌道修正が必要な項目。ここでも書いたが、「セーフは早く、アウトはゆっくり」がジャッジのタイミングの基本であるが、「セーフは慌てず、しっかり確認」が必要のようである。つまり、あまりに早くコールしようとすると、慌ててしまい、コールやジェスチャーが雑になってしまうようである。タイミング的には、確認事項の多い「アウト」のコールよりも早くなるのであろうが、落ち着いてしっかりと「LOOK」する必要がある。多少ゆっくり目にやったとしても、「アウト」のように確認項目が多くはないので、必然的に「アウト」コールよりは早くなるのだということである。選手や観衆には、判らないが審判には判る間合いであるが、これが決まると選手や観衆も納得しやすいタイミングなのだということである。実に奥深い。おそらく、これを読んでいる方には、この微妙なタイミングは分からないであろう。言葉では伝えきれない「間合い」である。
三つ目は、スロットポジションのちょっとした違いである。がしかし、これには目からウロコであった。スロットポジションは、捕手と打者の「隙間」に位置することで、ホームベースがすべて見え、かつアウトコースの低目が確認できるメリットがある。その際にホームベースのインコース側のラインが身体の中心になるように立つように指導されてきた。しかし、忠実にこれを実践しようとすると、捕手がアウトコースに構えた場合、自分の前に何もない状況となってしまう。捕手の構えたミット目掛けてボールが来てくれれば良いが、当然逆球もある。この逆球を打者がファウルチップでもしようものなら、当然のように直撃である。これは当然のように「恐怖感」が先に立つ。何事もなければラッキーとしか言いようがない。この様なことがあった試合後のミーティングでは、控の審判員に助言を求める。「こんな場合は、どうしたらいいだろうか」と。何人かの審判員と話し合い出た結論は、「実戦の中で修正しながら、つまり捕手側へ移動しても良いのではないか」であった。しかし、これも感覚的なものであった。基準が欲しいと思っていた。
その答えが、「捕手の中心に、自分のアウトコース側の肩の位置を合わせる」である。これなら、身体が半分以上捕手に隠れる。ただし、最大ホームベースの中心よりアウトコースへは寄らないのが原則のようではある。
要は、捕手と打者の隙間に入り、ホームベースが良く見えて、アウトローが良く見える位置に移動することができれば良いのだ、と勝手な解釈をすることにした。
四つ目は、コールのタイミングを再確認した。シーズンも深まってくると、色々な事が雑になってくる。人間慣れることは恐ろしい。「ベテラン」と呼ばれるようになると、大体が「怪しい領域」へと足を踏み込む。球審のジャッジの大半を占めるのが「ストライク・ボール」である。このコールが、徐々に早くなってきていることは、薄々は感じていた。それは、一番大切な基本動作を省略していたからだと気付かされた。
この基本動作が「トラッキング」である。投手の投球が、捕手のミットに収まるまで、目だけで追い続ける動作である。頭を動かしてはならない。目の玉だけを動かすのである。ミットにボールが収まった後、今の投球を頭の中でリプレイし、軌道を再確認してからコールするのである。これは、ストライクもボールも同様の動作となる。
「トラッキング」を一試合続けると、目の玉が痛くなる。それ程、大変な作業ではあるが、これを実践できた時に「コールの間合い」が一定するようだ。
冬の間に、どの程度トレーニングが積めるであろうか。
コメント
要は、投球をミットに入るまで見える位置で、安全な位置取りという理解で良いと考えております。
捕手がインコースぎりぎりに構えた場合はどのような位置取りになるのでしょう。
この場合も、打者と捕手の隙間に位置するのでしょうか。
コースを判定するためのベストポジションは、ベース中央の真後ろでしょう。一方、高低を判定するためのベストポジションは、真横となります。この両者を満足する位置を探した結果が、スロットポジションとなります。
つまり、ボールを最後まで確認できる位置ということですから、捕手がインコースへ動いた場合、「すき間」を意識し過ぎて、窮屈な打者と捕手の間にいる必要はありません。この場合は、捕手よりアウトコース側、つまりホームベース中央辺りに位置しても構わないと思います。
ボールが最後まで見えて、かつコースも高低も判定できると思える場所に移動できれば問題ありません。
ただし、あまり捕手から離れると、ファウルボールやパスボールが身体を直撃することがあります。私も毎年1~2度ほど当たりますが、大怪我にならないよう、捕手の後ろに隠れるようにして下さい。
あと、ストライクをボールにすることはルール違反だが、ボールをストライクにするのは
球審の裁量による。というので合ってますでしょうか。
さて、今年アマチュア野球界で話題になっている「ストライクゾーン」の話ですが、結論から申しますと、あまり神経質にならない方が良いということです。
早い話が、審判員が「ストライク」をコールした投球が「ストライク」であり、その他が「ボール」であるということです。そこに、ルール違反などという概念はありません。
そもそも、ストライクゾーンがあいまいなのです。まだ、裏づけをとっていないので公表は避けますが、高低の基準があいまいなのは周知の事実です。
コースにしても、ベースの両サイドという指標はありますが、ベースは地面に埋まっており、投球は空中を飛んでくる。これを判定するのですから、審判員は大変なのです。
されど、これを判定するのですから、神経質になっても仕方がないのです。
とにかく、自信がつくまで投球を見ることです。そして、恥をかいてでも選手や他の審判員にジャッジメントの良否を聞いてみることです。
あとは、際どい投球やプレイにおいて、万人がうなづくジャッジメントはないと言うことです。ジャッジメントが有利なチーム関係者は喜ぶし、不利なチーム関係者は不平を言うのです。
つまり、球場の半分の人が、審判員のジャッジメントに批判的だということです。
それを気にしていては勤まりません。
半分が騒いでいることに、ほくそえむ様な審判員でいたいものです。
捕手が外角寄りも、もっと外側に構えることがあります。これは、ほとんどが指導者や父兄などのアドバイスにより子供たちがやっていることが多いと思われます。
実際に、そこに立ってみると分かりますが、自分の前から捕手がいなくなり、投手と正対したときの恐怖は、やった者でなければ分かりません。
硬式球の場合は、決して大袈裟ではありません。
球審を見よう見まねで始めた当時は、投手の投球がワンバウンドになったりすると、反射的に脚を避けていました。
ルールの勉強を重ねるうちに、「審判は石ころ」という概念に気付きました。
投手の暴投が球審に当たった場合、守備側は事無きを得ますが、球審が脚を避けたためにバックネットまでボールが転々とした場合、守備側は大きな不利益を得ます。元々、暴投ですから致し方ないのでしょうが、一試合のうちで勝負の明暗を分けるプレイとなる可能性もあります。
今年は「捕手がミットを動かさないよう」に指導するのですから、一緒にキャッチャーズボックスから出ない指導もするべきかもしれません。
「捕手は球審を守ることも仕事である」
これは我が師匠の口癖でもあり、我がチームにおける捕手指導の基本事項となっている。
先日、マリナーズの城島捕手が大リーグ審判と上手くやる方法について語っていた。そのひとつが、「審判も人間ですよ。朝一番で挨拶をされて、嫌な気分になる人はいないでしょう。審判も同じですよ。そのために、気持ちの良くなるような英語やスペイン語を覚えるんです」。
今年も、こちらから捕手に語りかけ、彼らが間違った道に進まないよう道標を示してゆきたい。