スポーツの祭典、最高峰のロンドンオリンピックが真っ盛りである。期待通りの結果を出す選手や期待以上の結果を出す選手がいる一方、「オリンピックの魔物」に魅入られたように調子を崩している選手もいる。そんな中、日本選手の健闘が光る。個人の力比べのイメージが強いオリンピックであるが、ロンドンでは色々な競技シーンにおいて日本チームの「団体」としての大活躍が目に付く。
いずれにしても、4年に一度の「きらめく時間」を満喫してほしいものである。
高校野球の夏代表が出揃い、甲子園大会の組み合わせが決まった。ロンドンオリンピックと重ね合わせて「暑い暑い夏」となりそうである。

中学野球も各カテゴリーで全国大会が各地で開催されている。全国大会ともなれば、審判員も各地区を代表して集結して来ることが考えられる。当然、質の高いジャッジメントが期待できる。
最高峰の舞台での審判員の動きは、良きに付け悪しきにつけ勉強になるはずである。

初日は試合数が多く、たくさんの審判員が必要となるため、色々な審判員が集まっている。高齢の方も多く、夏場のゲームを裁くこと自体、疑問が残りそうな感じである。
それでもベテランには経験値という大きな武器があり、集中力や力加減のメリハリの付け方が多少勉強になる。
ベテランの球審のジャッジを見ていると、つくづく感じることがあった。球審はダッグアウトやその上のスタンドから「何が見えるのか」を考えるべきである。

ストライクゾーンを横から見ると、高さしか見えない。ストライクの半分は、横からジャッジが可能である。このジャッジが適当だと「ダッグアウトの信頼」は得られない。
ジャッジの不安定さは、間違ったポジショニングや癖が原因となることが多い。近くに師匠や信頼できる忠告者がいるとクリニックもできるが、ある程度以上のベテラン審判員には忠告はしにくいし、本人も聞く耳を持たないことが常である。私自身も、なかなか自分を否定するような忠告には耳を傾けづらいのは確かである。

たとえば、「間違ったスロットポジション」である。
 スロットポジションの基本的な足の位置は「ヒール・トゥ・ヒール」、つまり捕手のかかとに球審のつま先を合わせ、その足のかかとに、もう片側の脚のつま先を合わせることとなる。こうなると、身体の向きは「斜 -ハス-」になり、そのまま立つと胸が投手の方向に向かない。わずかだが、身体をねじり投手に正対するように立つことの「意識」が大切である。わざわざ、このような面倒な姿勢を取るには、もちろん理由がある。投球判定は、所定の高さでホームプレート上を通過する投球を「ストライク」とし、その他を「ボール」と判定する。判り切ったことだが、平面的なホームプレートと空間の高さを同時に確認する作業を行わなければならない。それには、基準となるホームプレートが「すべて見えること」が必須となる。そのために、面倒な姿勢になりながら、打者と捕手の隙間(スロット)にポジショニングするのである。「審判メカニクスハンドブック第3版」には、以上のことが「1.球審の構え方」に書かれている。右打者のケースで、図解入りで解説されている。
この基本的な事柄を、今更解説するのは理由がある。何故か、右打者の時に完璧にできている姿勢を、左打者の時にできないのか。一見すると違和感なく見えるのだが、よくよく見ると、右打者の時の構えを、そのままスライドさせているだけである。
これでは左足が捕手の背中に当たるため、後ろに下がらなければならない。これにより、肝心要の「ホームプレートを見る」際に死角が発生する可能性が高くなる。
何故そのような「癖」のある構えになってしまったのか。
色々な構えやジェスチャーには、目的と理由、基本、そして歴史がある。

「人の振り見て我振り直す」。
最高峰の舞台で学んだことは、基本の見直しであった。

コメント

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斉藤 勇
2012年10月15日13:12

スロットルポジシャンについて

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