インフィールドフライ宣告がもたらす結果
2008年11月8日 スポーツ
試合前のミーティングで、クルーが確認することのひとつが「インフィールドフライ」のサインを出すタイミングである。シニアでは胸に右手を当てるサインを用いており、捕手が座った時点で球審から発信され、塁審が応じるパターンが多い。自分の胸をインフィールドに見立てて「確認」するのである。
インフィールドフライは、無死または一死で走者一二塁または満塁の場面で適用されるルールであり、攻撃側の不利益を事前に取り除くための特別ルールである。ただし、内野内に打ち上がったフライすべてが対象というわけではない。また「インフィールド」の範囲は外野の芝の切れ目ではない。
ルールブックでは「内野手が普通の守備行為をすれば、捕球できるもの」と定義されている。つまり、飛球の高さや野手の守備位置および動きが目安ということであり、低いフライやライナー性の当たりなどは対象外となる。風の強い時などは「内野手が普通の守備行為」で捕球できない場合がある。打球の性質と野手の動きを把握した上で宣告することが肝要である。意外に判断までの時間はあるので、落ち着いて宣告することである。
インフィールドフライを宣告しない場合でも、内野手がフライを捕球してくれれば良いのだが、ボーンヘッドなどで落球すると、走者が「詰まった状態」のために混乱が起こる。特に攻撃側が圧倒的不利となる。落球した時点で、走者が次塁へ走らなければならないが、内野フライであるから大きなリードを取るわけには行かないため、下手をすると併殺が成立する可能性もある。守備側は慌てなければ、いずれかで一死は確実に獲れるからリスクは小さい。逆に、気の利く選手(狡猾な選手)は落球した振りを見せて併殺を狙いにくるかもしれない。
攻撃側の不利益を事前にとる事で、試合をフェアに進行させるためにも「インフィールドフライ」は宣告するべきであろう。
今年の試合で面白い事例があった。それも、ひとつの試合で両チームが同じようなことを繰り返したのである。
場面は一死満塁。最初のケースでは、内野手が定位置付近に守っており、比較的高いフライが二塁キャンバス後方へ飛んだ。遊撃手が回り込み捕球体勢となった時点で二塁塁審が「インフィールドフライ」を宣告した。ところが、遊撃手がグラブの土手に当てて落球した。これを見た三塁走者が本塁へスタートを切った。他の走者も慌てて次塁へ向かった。落球したボールを拾った遊撃手は、二塁カバーに入った二塁手へ送球したが、二塁手がフォースプレイの態勢で捕球し、走り込んで来た走者にタッグしなかったために「オールセーフ」となった。実は、この落球により打者走者も一塁にしばらく居た所から、インフィールドフライが宣告された時点で打者がアウトだということを知らないのではないかと思ってしまった。
審判メカニクスには、「インフィールドフライ・バッター・イズ・アウト」と宣告するように書かれている。つまり、インフィールドフライを宣告した時点で「打者アウト」も併せてコールするように書かれているのである。ただし、これがファールライン付近の飛球の場合はちょっと違う。このケースでは「インフィールドフライ・イフ・フェア」と宣告するべきであり、「フェアならばインフィールドフライが適用されて打者アウト」となることを周知する必要がある。「打者アウト」を続けてコールしないのは、ファウルエリアで落球した場合は「ファールボール」であり、打者アウトにはならないからである。
二つ目のケースも一死満塁。内野手は前進守備で、またまた二塁後方へ力の無い小飛球が飛んだ。前進守備の遊撃手が背走する格好で打球の落下位置に走っており、飛球もそれほど高くないためインフィールドフライが宣告されなかった。案の定、遊撃手は打球に追い付きはしたものの落球してしまった。このケースは打者に次塁へ走る義務が生じているため、走者は一斉にスタートした。落球したボールをカバーしたセンターが拾い本塁へ送球しようと前に出てきた際に、一塁走者より早く二塁キャンバスを踏むという偶然が起きた。これは先ほどと違い、フォースプレイとなり一塁走者は「アウト」となる。
いずれのケースも一得点が入り一死が増えたが、最初のケースが二死二三塁から、次のケースが二死一三塁からの再開となり、試合の流れ次第では大きなジャッジとなることも考えられる。
内野手の守備位置、飛球の角度・高さや勢いなどを的確に判断することは勿論、その後の処置も予め想定しながらいなければ、選手よりも審判員がパニックに成ってしまいかねない事例であった。
インフィールドフライは、無死または一死で走者一二塁または満塁の場面で適用されるルールであり、攻撃側の不利益を事前に取り除くための特別ルールである。ただし、内野内に打ち上がったフライすべてが対象というわけではない。また「インフィールド」の範囲は外野の芝の切れ目ではない。
ルールブックでは「内野手が普通の守備行為をすれば、捕球できるもの」と定義されている。つまり、飛球の高さや野手の守備位置および動きが目安ということであり、低いフライやライナー性の当たりなどは対象外となる。風の強い時などは「内野手が普通の守備行為」で捕球できない場合がある。打球の性質と野手の動きを把握した上で宣告することが肝要である。意外に判断までの時間はあるので、落ち着いて宣告することである。
インフィールドフライを宣告しない場合でも、内野手がフライを捕球してくれれば良いのだが、ボーンヘッドなどで落球すると、走者が「詰まった状態」のために混乱が起こる。特に攻撃側が圧倒的不利となる。落球した時点で、走者が次塁へ走らなければならないが、内野フライであるから大きなリードを取るわけには行かないため、下手をすると併殺が成立する可能性もある。守備側は慌てなければ、いずれかで一死は確実に獲れるからリスクは小さい。逆に、気の利く選手(狡猾な選手)は落球した振りを見せて併殺を狙いにくるかもしれない。
攻撃側の不利益を事前にとる事で、試合をフェアに進行させるためにも「インフィールドフライ」は宣告するべきであろう。
今年の試合で面白い事例があった。それも、ひとつの試合で両チームが同じようなことを繰り返したのである。
場面は一死満塁。最初のケースでは、内野手が定位置付近に守っており、比較的高いフライが二塁キャンバス後方へ飛んだ。遊撃手が回り込み捕球体勢となった時点で二塁塁審が「インフィールドフライ」を宣告した。ところが、遊撃手がグラブの土手に当てて落球した。これを見た三塁走者が本塁へスタートを切った。他の走者も慌てて次塁へ向かった。落球したボールを拾った遊撃手は、二塁カバーに入った二塁手へ送球したが、二塁手がフォースプレイの態勢で捕球し、走り込んで来た走者にタッグしなかったために「オールセーフ」となった。実は、この落球により打者走者も一塁にしばらく居た所から、インフィールドフライが宣告された時点で打者がアウトだということを知らないのではないかと思ってしまった。
審判メカニクスには、「インフィールドフライ・バッター・イズ・アウト」と宣告するように書かれている。つまり、インフィールドフライを宣告した時点で「打者アウト」も併せてコールするように書かれているのである。ただし、これがファールライン付近の飛球の場合はちょっと違う。このケースでは「インフィールドフライ・イフ・フェア」と宣告するべきであり、「フェアならばインフィールドフライが適用されて打者アウト」となることを周知する必要がある。「打者アウト」を続けてコールしないのは、ファウルエリアで落球した場合は「ファールボール」であり、打者アウトにはならないからである。
二つ目のケースも一死満塁。内野手は前進守備で、またまた二塁後方へ力の無い小飛球が飛んだ。前進守備の遊撃手が背走する格好で打球の落下位置に走っており、飛球もそれほど高くないためインフィールドフライが宣告されなかった。案の定、遊撃手は打球に追い付きはしたものの落球してしまった。このケースは打者に次塁へ走る義務が生じているため、走者は一斉にスタートした。落球したボールをカバーしたセンターが拾い本塁へ送球しようと前に出てきた際に、一塁走者より早く二塁キャンバスを踏むという偶然が起きた。これは先ほどと違い、フォースプレイとなり一塁走者は「アウト」となる。
いずれのケースも一得点が入り一死が増えたが、最初のケースが二死二三塁から、次のケースが二死一三塁からの再開となり、試合の流れ次第では大きなジャッジとなることも考えられる。
内野手の守備位置、飛球の角度・高さや勢いなどを的確に判断することは勿論、その後の処置も予め想定しながらいなければ、選手よりも審判員がパニックに成ってしまいかねない事例であった。
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