成り行きの事例
先日、実際にこのようなプレイがあった。私が二塁塁審に立っていた際に、このプレイが発生した。二死走者二塁でショートへ痛烈なゴロが飛んだ。打球を追った私の目に映った光景は、遊撃手が打球を弾き、二塁走者が遊撃手の背中側に接触したように見えた状態であった。私は妨害のポイントを打つこともなく、遊撃手がボールを拾い送球するプレイを見てしまった。
一塁は「セーフ」。次の瞬間、遊撃手と二塁手が「当たった、当たった」と主張する。
私はタイムを宣告し、他の審判員との協議を行った。
協議の結果は「成り行き」である。つまり、遊撃手はボールを大きく弾いたため、最初の守備行為は一旦終了している。そこで走者と接触したが、遊撃手は次のプレイに移行しようとしているし、走者は次塁へ走ろうとしている。この行為は、お互い必要な行為であるから「妨害はない」との判断である。
実は私見は違っていた。私は「オブストラクション(b)項」を適用して、走者の不利益を取り除くことを考えていた。結果としては、走者一三塁となるから状況は変わらないのだが。
協議を終えてポジションに戻りかけると、「守備優先」を主張する守備側から説明を求められた。私は守備側監督が、どのような認識でいるのかを試してみたくなり、「遊撃手のオブストラクションで走者一三塁にて再開する」と説明した。
守備側監督の顔色が一変したのは言うまでもない。「守備優先だから、インターフェアだろう」と怒鳴りだした。このような考え方だと「説明不能」だなと感じていると、三塁のベテラン審判員が慌てて「成り行き」と説明して試合再開したが、結果は変わらずとも、「妨害」が介在したことの説明の難しさを痛感したプレイであった。
それにしても「成り行き」という裁定には、どうにも釈然としない。これを使いこなすには、まだまだ経験が不足しているのであろう。

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