罵声

2008年5月18日
観客席にいると相手チームの声は良く聞こえるが、自チームの声が小さく感じて「ベンチ声出せぇ〜」などと叫んだことが良くあった。しかしグラウンドレベルにいると、ダッグアウトからの声はよく木魂して大きく響くのである。おのずとダッグアウトから聞こえてくる罵声も良く聞こえる。時には作戦面が判ってしまう事さえある。指導者たちは、当然そのあたりは計算づくだとは思うが、罵声は聞き苦しい限りである。選手を鼓舞する声は良いとしても罵倒する声は睨み付けたくなる。ダッグアウトからはストライクゾーンが高さしかわからないはずなのに、「どうして、好球を見逃す!!」と叱責する。実は、アウトコース一杯一杯のベストピッチであったりするから、思わず「今のは打てないよな」と同情してしまう。選手と指導者の関係は、私が口を挟む余地はないのであろうが、罵声や叱責は聞き苦しい。時に、それが選手との「スキンシップ」だと勘違いしている指導者もいるようであるから困りものである。また、それが試合を活気付けると勘違いしている指導者もいるようである。
罵声の中には、審判員の判定や判断に対するものもある。自分達に不利な判定や判断が為されると、決まって異議を申立てる。ほとんどの指導者が、自チームのベストパフォーマンスを期待しているから、不慮の事態が発生した時に頭が整理つかないのであろう。
まずは、大声で異議を申立てるのが常である。
先日も「ボーク」を連呼する指導者がいたが、自分達の裁定に不安も何もないことから無視して試合を続行した。正式に監督が抗議に出てきた場合には丁寧に対処する必要がある。しかし、ダッグアウト内で馬鹿でかい声を張り上げている指導者に対し、闇雲に反応してしまう必要はまったくない。無視することにしている。
同じようなクロスプレイも、攻撃中は「セーフ」に見えて、守備中は「アウト」に見えるのが野球である。それも人情であろう。この二分の一を裁定していくのが審判であり、それに意義を申立てることは野球を否定することと同じである。
指導者達はスポーツマンらしくあれと言っていながら、自らが汚い素行を見せていることに気付くべきであろう。選手達に「正々堂々」を宣誓させていながら、試合では妨害プレイを励行しているチームや、野次を聞き流している指導者やチームがあるのも事実である。
過去に中学シニアで「退場」騒ぎがあったかどうか知らないが、公認野球規則には「審判員の権限」として明確に記載されている。
9.01    審判員の資格と権限 (d)審判員は、プレイヤー、コーチ、監督または控えのプレイヤーが裁定に異議を唱えたり、スポーツマンらしくない言動をとった場合には、その出場資格を奪って、試合から除く権限を持つ。
私自身、野球経験が皆無なことは何度も書いている。ゆえに、技術面や作戦面に関することは素人であろう。一野球ファンとしての知識しかない。しかし、「野球規則」に関しては、十分議論できると自負している。まだまだ未熟な面は多々有るが、野球規則に関する勉強を継続していることは明確に言える。
自分達に不利な判定をされたと感じて異議を申立てる指導者の方々は、是非とも「野球規則」に照らしてみてからお願いしたい。
私達審判員は、「野球規則」に則ってゲームを進めることしかできないのであるから。
良く言われるのが、「自分がやってきた野球には、そんなルールはない」という言葉であるが、それがどうしたと言うことであろうか。「自分がやってきた野球」が「絶対」だと思っていること自体がナンセンスなのであろう。特に、上のステージを経験してきた指導者に多いのには閉口する。上のステージでやってきた野球人ほど、野球規則に精通し、審判員の資格と権限を理解していなくてはならないのではないかと思う。
上のステージで野球をやってきた人間の影響力は強い。発言力も強い。素人たちは、霊感商法のようにすぐに騙されるであろう。だからこそ、野球の基本原則を理解して広めてもらいたいと強く思うのである。
野球人である前に、一人の人間として子供達を指導するためには、審判員も指導者も一社会人として襟を正すべきであろう。

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