捕手の位置
2008年4月28日今年はオープン戦も順調に消化しながら春季大会に突入したことから、色々なプレイを体験している。シニアの夏が終われば、選手も審判員もレベルが上がり、起こり得ないような珍プレイが起こるのである。毎年のことではあるが、ダッグアウトから守備位置への全力疾走や投球練習時のネクストバッターズボックスでの待機など、同じ注意をまた一からやらなければならないのは、毎年主力が変わる学生野球では致し方ないことなのだろう。当たり前のことを注意しなければならないのは、言う方も疲れるが、言われる方も嫌であろう。しかしすべての試合前に「攻守交替は全力疾走」と言い伝えて、今まで一試合最後まで出来たチームに出会ったことはない。高校野球では練習試合といえ全力疾走を怠らないチームはザラにあるが、中学シニアではお目にかかったことがない。
1月に東京で開催された審判員講習会でも話題になっていたが、今年のアマチュア野球界では「本塁周りの妨害行為」を厳しくしようという流れを感じている。本塁周りには、野球で行われるプレイの大半の要素が詰まっているように思われる。何と言っても、野球は得点を奪い合うゲームであり、それは本塁横の打席をスタート地点として、1塁・2累・3累と周り、また本塁に戻ってきて得点となるのである。野球を始めたばかりの小学生でも知っている、野球のルールの基礎の部分である。この周囲では色々なことが起こる。
ストライク・ボールやハーフスイングの判定から、ファウルボールやデッドボールの見極め、ワイルドピッチやパスボール、イリーガルバッティング(反則打球)やインターフェア(打撃妨害・守備妨害)、そして得点など、ここの場所で起こることは非常に多く、ジャッジの機会も断然多い。
その中でも、一番エキサイティングで注目度が高いのが「本塁上のクロスプレイ」であろう。今年は、既に4度の機会に恵まれた。これが起きるケースは色々あるが、今年のケースは?走者二塁からのセンター前安打(2度)、?走者三塁からのセンター犠牲フライ、?走者二塁からのレフト前安打である。?は同じ試合で続けて二度あったが、走者と打者が同じで打球の飛んだ方向までも同じという極めて珍しい事例であった。最初は「タッグアウト」、二度目は「セーフ」という相反する結果であった。また?はなかなかスリリングなクロスプレイであり、結果は「タッグアウト」であった。
これらの事例に共通することがひとつある。それは「捕手の位置」である。本塁上のクロスプレイで一番良く見なければならないところは、走者のベースタッチと捕手のタッグであるのは言うまでも無いが、実はその前段階がある。それが、「捕手の位置」である。野球規則7.06【オブストラクション】の項に、捕手の位置に関する記述がある。これをどのように読むかが問題である。
7・06 オブストラクションが生じたときには、審判員は "オブストラクション" を宣告するか、またはそのシグナルをしなければならない。
【付記】 捕手はボールを持たないで、得点しようとしている走者の進路をふさぐ権利はない。塁線(ベースライン)は走者の走路であるから、捕手は、まさに送球を捕ろうとしているか、送球が直接捕手に向かってきており、しかも充分近くにきていて、捕手がこれを受け止めるにふさわしい位置をしめなければならなくなったときか、すでにボールを持っているときだけしか、塁線上に位置することができない。この規定に違反したとみなされる捕手に対しては、審判員は必ずオブストラクションを宣告しなければならない。
以前、このブログ上で書いた記憶があるが、野球で四つあるベースの中で駆け抜けて良いのは、「一塁」と「本塁」である。二塁と三塁を駆け抜けた場合はオーバーラン・オーバースライドとしてタッグにより「アウト」となるが、一塁と本塁はそれが許されている。つまり、本塁は駆け抜けが許されているからスライディングをする必要はない。本塁と一塁の大きな違いは、一塁はフォースアウトであり、本塁にはフォースとタッグの二種類があるということである。この違いが、本塁上にボールを持った捕手がいる現象を引き起こしているのであろう。
先日、プロ野球でブロックにいった捕手が外人選手にタックルをされて突き飛ばされたシーンがあった。あのタックルを善しとは考えないが、あのような状態になっても止む無いのが本塁上のクロスプレイであり、それを阻止しようと「ブロック」すること止めない限り、あのような危険なプレイがなくなることはない。
野球規則の中に、捕手のブロックに関する記述はない。ましてや、「ボールを持った捕手が走者に対してブロックして良い」などと書かれた文面は一切無いのである。
日本の野球に根強くある、捕手のブロック行為。これは、明らかなオブストラクションであり、非常に危険なプレイである。同じタッグプレイで、三塁や二塁上で野手がブロックをすることを見た事がない。なぜであろうか。それは、捕手が防具を着けているからであろう。捕手は防具を着けて、生身の走者に体当たりを食らわすのである。これを「妨害」とせずして、何と考えるのであろうか。
今年、四度あった本塁上のクロスプレイで、ずっと気になっていた「捕手の位置」。四度目に「オブストラクション」を明確に確認し、宣告することができた。
私の今年のテーマである。
1月に東京で開催された審判員講習会でも話題になっていたが、今年のアマチュア野球界では「本塁周りの妨害行為」を厳しくしようという流れを感じている。本塁周りには、野球で行われるプレイの大半の要素が詰まっているように思われる。何と言っても、野球は得点を奪い合うゲームであり、それは本塁横の打席をスタート地点として、1塁・2累・3累と周り、また本塁に戻ってきて得点となるのである。野球を始めたばかりの小学生でも知っている、野球のルールの基礎の部分である。この周囲では色々なことが起こる。
ストライク・ボールやハーフスイングの判定から、ファウルボールやデッドボールの見極め、ワイルドピッチやパスボール、イリーガルバッティング(反則打球)やインターフェア(打撃妨害・守備妨害)、そして得点など、ここの場所で起こることは非常に多く、ジャッジの機会も断然多い。
その中でも、一番エキサイティングで注目度が高いのが「本塁上のクロスプレイ」であろう。今年は、既に4度の機会に恵まれた。これが起きるケースは色々あるが、今年のケースは?走者二塁からのセンター前安打(2度)、?走者三塁からのセンター犠牲フライ、?走者二塁からのレフト前安打である。?は同じ試合で続けて二度あったが、走者と打者が同じで打球の飛んだ方向までも同じという極めて珍しい事例であった。最初は「タッグアウト」、二度目は「セーフ」という相反する結果であった。また?はなかなかスリリングなクロスプレイであり、結果は「タッグアウト」であった。
これらの事例に共通することがひとつある。それは「捕手の位置」である。本塁上のクロスプレイで一番良く見なければならないところは、走者のベースタッチと捕手のタッグであるのは言うまでも無いが、実はその前段階がある。それが、「捕手の位置」である。野球規則7.06【オブストラクション】の項に、捕手の位置に関する記述がある。これをどのように読むかが問題である。
7・06 オブストラクションが生じたときには、審判員は "オブストラクション" を宣告するか、またはそのシグナルをしなければならない。
【付記】 捕手はボールを持たないで、得点しようとしている走者の進路をふさぐ権利はない。塁線(ベースライン)は走者の走路であるから、捕手は、まさに送球を捕ろうとしているか、送球が直接捕手に向かってきており、しかも充分近くにきていて、捕手がこれを受け止めるにふさわしい位置をしめなければならなくなったときか、すでにボールを持っているときだけしか、塁線上に位置することができない。この規定に違反したとみなされる捕手に対しては、審判員は必ずオブストラクションを宣告しなければならない。
以前、このブログ上で書いた記憶があるが、野球で四つあるベースの中で駆け抜けて良いのは、「一塁」と「本塁」である。二塁と三塁を駆け抜けた場合はオーバーラン・オーバースライドとしてタッグにより「アウト」となるが、一塁と本塁はそれが許されている。つまり、本塁は駆け抜けが許されているからスライディングをする必要はない。本塁と一塁の大きな違いは、一塁はフォースアウトであり、本塁にはフォースとタッグの二種類があるということである。この違いが、本塁上にボールを持った捕手がいる現象を引き起こしているのであろう。
先日、プロ野球でブロックにいった捕手が外人選手にタックルをされて突き飛ばされたシーンがあった。あのタックルを善しとは考えないが、あのような状態になっても止む無いのが本塁上のクロスプレイであり、それを阻止しようと「ブロック」すること止めない限り、あのような危険なプレイがなくなることはない。
野球規則の中に、捕手のブロックに関する記述はない。ましてや、「ボールを持った捕手が走者に対してブロックして良い」などと書かれた文面は一切無いのである。
日本の野球に根強くある、捕手のブロック行為。これは、明らかなオブストラクションであり、非常に危険なプレイである。同じタッグプレイで、三塁や二塁上で野手がブロックをすることを見た事がない。なぜであろうか。それは、捕手が防具を着けているからであろう。捕手は防具を着けて、生身の走者に体当たりを食らわすのである。これを「妨害」とせずして、何と考えるのであろうか。
今年、四度あった本塁上のクロスプレイで、ずっと気になっていた「捕手の位置」。四度目に「オブストラクション」を明確に確認し、宣告することができた。
私の今年のテーマである。
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