捕手へ

2008年1月31日
審判員のジャッジにとって、球審と捕手の関係は重要な要素である。審判員四氏が一試合で下すジャッジメントの内、50〜60%は球審のコールであると言われている。そのうち、半分はストライク・ボールの判定であろうと思われる。
スイングをしたストライク、つまり空振りやファウルボールは判断に窮する事は少ない。打者が見逃した際の「ストライク」OR「ボール」の判定が試合の趨勢を左右するのである。
球審は「トラッキング」という技術により、投手からの投球を長く見ようとする。投手の手から放たれたボールを、目の玉を動かすだけで捕手のミットまで見届けることを「トラッキング」という。
そこまで見届けた上で、捕手のミットからビデオを再生するように、残像を逆回転してストライクゾーンとの関係をチェックする。その上で、判定を下すことを一試合繰り返すのである。
ここで、重要なのが捕手のミットである。捕手はストライクゾーンの一番近くにいる野手であり、それも投手に対して正面に位置している。捕手は「ストライク・ボール」を判断できるポジションにいるのである。ゆえに、勝手に捕手が「ストライク・ボール」を判断し、球審にとっては一番重要な「ミットで捕球した位置」を明確にしない場合が多い。
また、ミットが流れる癖のある捕手や、手首を使い内に内にミットをこねる捕手もいる。少しでもストライクに見せようとする努力は解るが、是非ともこのような捕手は、投球をバシッと止める練習をしてもらいたい。バシッと捕球して、球審にミットを見せてもらいたい。

ドカベンの主人公・山田太朗は、「ボール臭い」里中の投球を、ミットを動かして「ストライク」に見せるようとしていたシーンがあった。ドカベンは卓越した捕手の技術を持っている事から、その動きに騙された球審は、際どいコースをことごとく「ストライク」とコールするのである。
しかし、この逸話は現実にはありえない。その理由は、捕手がミットを動かすことが見えない球審はいないからである。トラッキングにより、捕手のミットまで目を付ける癖をつけているから、ミットを動かせば絶対に見えるのである。
逆に、ミットを動かすことで損をしていることのほうが多いと思われる。つまり球審は「ボール臭いから動かした」と考えるからである。
捕手は、球審がコールする間は、ミットを留め置くつもりでいてもらいたい。
一方、際どい投球を「ボール」と判定されいるにも関わらず、ずっとミットを動かさない捕手もいる。これは、明らかなる抗議行動であり、球審の心証を害すること請け合いである。そんな捕手に限って、アウトローぎりぎりに投球が決まっり「ストライク」をコールされているにも関わらず、ジッと捕球姿勢を崩さない捕手もいる。投手の投球と自分自信のキャッチングに陶酔しているかのように、いつまでも投手にボールを返球しないのである。
捕手は、ダイヤモンド内では「監督」の役割といわれるほど、重要なポジションである。このポジションを担う選手は、是非ともテンポ良く試合進行してもらいたいものである。

先日の審判講習会で講師の方が、講習会を中断してまでも選手に教えていたのが、「捕手のオブストラクション」である。
その講師の方曰く「捕手のレガースは何のために付けているのか。それは、投手の投球から身を守るためであり、三塁走者のホームインを阻むブロックをするために着用しているのではない」と言うことである。
確かにそのとおりである。野球の試合の中で、駆け抜けることが許されているのが、1塁と本塁である。走り抜けられるということは、走路が確保されているはずである。つまり、五角形のホームベースの三本間のライン上は走路なのであるから、そこを塞ぐことは「走塁妨害・・・オブストラクション」となるのである。
捕手のブロックが許されるのであれば、一塁手にも防具を着用させてブロックをさせれば良いということになる。
講師の方は、この妨害は厳しく採るべきであると強調されていた。それは、大怪我にもつながるからであろう。

捕手の諸君よ、君たちの一挙手一投足は、試合の流れを大きく左右することを自覚していてもらいたいものである。

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