用具点検

2007年10月6日
試合前のシートノック終了後は、審判により用具点検が行われる。主な点検項目は、バット、ヘルメット、グラブ、捕手のカップである。

バットは金属疲労による「ひび」などがないか、グリップテープが剥がれていないか、そして規格外のものはないかなどである。中学シニアでは使用できないメーカー(海外メーカーには注意)があるようなので、購入の際には注意が必要であろう。グリップテープが損傷していたり、エンドテープが剥がれていたりは結構見られることであり、あまりにも著しい場合は使用を許可しないこともある。
最も注意を要するのが金属疲労による損傷である。金属バットは永久に使用できるものではない。当然「賞味期限」がある。バットのメーカー・材質・種類により異なるが、概ね「1万回〜2万回」の打撃にしか耐えられない。よくバットのマークが磨り減ったように消えかかっているバットを見かけるが、あのようなバットは間違いなく「賞味期限」を越えていると思われる。去年よりも身体も大きくなりパワーもついたはずなのに、全然打球が飛ばないと感じたらチェックが必要であろう。一日100回のティと50回のフリー打撃をした場合、土日の練習だけで一ヶ月1200〜1500回使用する。と考えると、10ヶ月〜1年程度が目安なのであろう。1本のバットを何人もの選手で使用した場合は、数ヶ月で「賞味期限」が過ぎてしまうのである。
私の息子が、初めて中学硬式の金属バットを行きつけの野球用品店で購入した際に、そこの店主に「バットやグラブなどの道具は、他人に貸すものではないよ」と言われたことを思い出した。「道具は大事にしろ」と共に、道具には「賞味期限」があることを認識したものである。

グラブについては、グラブの色や形など様々な規定があるが、試合前の点検で注意を促すのは「綴じ紐」の長さである。プロ野球選手などが、綴じ紐の余分な部分を切らずにダラっと伸ばしている場合がある。中学シニアは硬式野球と言えども、所詮少年野球の延長線上にある。格好がいいと真似する気持ちも分からなくもないが、野手がタッグにいった際に、紐が勢い良く走者の目に当たる場合などが考えられるため、長い紐は短く結び直すか切るように指導している。

ヘルメットについては、頭部を保護する重要な用具である。ひびが入っていないか、耳当てのインナーは装着されているかなどを見る。最近のヘルメットは丈夫になっているのだと思われるが、何度かボールが当っているものなどは点検が必要であろう。今日も、試合前のノックをしていた指導者の頭部に送球が直撃し、救急車で運ばれた。大事には至らなかったが、とにかく頭部は危険である。
野球にデッドボールはつき物であるが、頭部は頂けない。私は、頭部に死球が当った場合は、「臨時代走」をお願いする事にしている。例えそれが「かすった程度」であったとしても「臨時代走」をお願いする。頭部への死球を投げてしまうようなコントロールしかない選手は「投手」とは言えないと思っている。また、最近は死球を避ける技術が低下しているように感じる。自分の身体なのに「身のこなし」が上手くないのである。野球ばかりではなく、他のスポーツを体験することも必要なのであろう。実際に、前転は何とかできたとしても、後転ができない子供達が増えているのである。

捕手のカップは重要である。もちろん、レギュラー捕手も控えの捕手も同様である。私は、彼等の股間を叩きカップを装着していることを確認している。子供たちの間からは笑いが起こるが、カップが活躍しないことが一番である。球審もカップを装着しており、私も今年2度ほどお世話になった。いずれも、投手の投球が直接当たったのだが、捕手の場合ファウルボールも直撃するので尋常な痛さではないだろう。少年野球などでは、ボールが当たった選手に対して、指導者や観客から「痛くない、痛くない、頑張れ」と声援が飛ぶが、自分が被害者でないから、そんなことが言えるのである。実際は悶絶するほど痛いはずである。
そんな痛い思いをしてまでも辞められないのが捕手というポジションと、球審という役割なのである。つまり、あの場所が野球を観る上でベストポジションということである。

球審をやり始めた当時、息子の打撃を特等席で観戦できる喜びを感じながら、ジャッジしていたことを思い出した。

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