カウンター
2007年9月25日審判クルーの基本的な動き、メカニクスは「クロックワイズ」と呼ばれている。つまり、時計回りに審判員が動くということである。走者無し、または一塁の場合には、審判員はクロックワイズメカニクスにより動く。と言っても、外野に大きな飛球やトラブルになりそうな飛球が行った場合である。フェンス際の捕球や、バウンドしそうな中途半端な飛球の捕球、または数人が重なり合って捕球しそうな当たりに対して、審判員が判定に行くのである。
外野の判定に塁審が1人行ってしまうと、4つの塁を球審と2人の塁審で受け持つこととなる。これは物理的に不利であり、理不尽に感じてしまう。野球においてジャッジは重要であるにも関わらず、審判員はハンデを背負ってグラウンドに立っているのである。正に理不尽。
走者無しの場合は、レフト定位置からライトの定位置までの範囲を二塁塁審が受け持つ。そうなると、二塁ベースの担当者が居なくなる。一塁の触塁は、一番近くにいる一塁塁審に確認してもらおう。じゃあ、二塁ベースは誰が守ろうか。一塁塁審が走者と一緒に走るのも悪くは無い。学童の野球であれば、子供より速く走ることができる審判員も居るであろうが、中学生ともなると一試合は不可能である。
そこで「クロックワイズメカニクス」が効果を発する。走者は反時計回りに進塁して来るのであるから、三塁塁審が時計回りに進めば、それ程頑張って走らなくても、二塁ベース上での走者の触塁やタッグプレイに間に合うのではないか。これは、助かる。
打球が外野に飛び、二塁塁審が「GO OUT」と追ったならば、それに釣られるように三塁塁審が二塁ベースの内側へ走り込めば良いのである。
そして、がら空きになった三塁ベースには球審がカバーに走り、ランニング本塁打に備えて本塁には、走者の一塁触塁を確認してお役御免となった一塁塁審がカバーに来れば良いのである。
走者一塁の場合は、二塁塁審が内側にポジショニングを取るため、センター定位置よりライト側の打球が一塁塁審、レフト側が三塁塁審のテリトリーとなる。またまた、外野に飛球が行くと1人少ない状態となる。ましてや、今度は走者が二人である。
ここでも基本は「クロックワイズメカニクス」で動く。一塁塁審が外野へ行った場合は、一塁走者が二塁・三塁へと進塁するため、二塁および三塁塁審は動けない状態である。では、誰が打者走者の一塁触塁を確認するのか。これは球審の役割である。球審は内側に切れ込みながら、打者走者の一塁触塁を確認する。その後、他の塁審や走者の動きを確認しながら本塁でのプレイに備える。三塁塁審が外野へ行った場合は、非常に分かりやすい。一塁塁審は一塁、二塁塁審は二塁を守れば良い。空いた三塁には球審がカバーに向かい、本塁には一塁塁審が、となる。
触塁を確認する際のポーズには、「サラッと見る派」と「停まって確認派」が居るようである。
私は前者で確認していたが、どうにも「周囲への説得力」に欠けるように感じており、ある先輩より指摘されたのもあり、後者の確認ポーズをやってみようと考えている。
とは言え、走者が動き、野手も動き、送球も動く状態であるから、審判クルーの迅速な動きが必要となる。その中で、触塁・タッグプレイ・インターフェア・オブストラクション・タイムプレイなどの要素を判定しなくてはならない。基本的には「ボールから目を切るな」であるが、ボールの所在に気を取られ、「カットマンと同じライン」に入ってしまい、守備妨害状態となる場合も結構ある。引退したサッカーの中田英寿選手のように、瞬間的に周りの状況を確認し、動けるようになれば良いのであろうが、なかなか難しい。
走者が二・三塁に進んだ場合は、得点の可能性があることから基本的に球審は動かないため、二塁塁審がキーマンとなる。二塁塁審は基本的に、打球が右側に飛べば一二塁間内側へ動き、左側に飛べば三遊間内側へ移動する。その位置で二つの塁をカバーするのである。
二塁塁審が反時計回りに動くケースを「カウンター」と呼ぶ。走者が二塁にいるケースなどで、左側に打球が飛び、三塁塁審が追った場合、二塁塁審は二塁走者と共に「徒競走」状態となる。これに引きずられて、一塁塁審は一二塁間へ移動するのである。
二塁塁審の技術は、ある程度経験が必要となる。走者の走力や外野からの返球、中継からの返球など、ボールの動きを幾通りか想定していないと、その後のプレイに対応できない。勝手に「ここはバックホームだな」などと決め付けていると、初めから本塁を諦めて次走者に対するプレイを仕掛けてくる場合がある。このような場合は、色々想定していないと対応が出来ない。あくまで自然体で待つこととしているが、集中力を高めていないと虚を突かれる。
先日、私は一塁塁審を担当し、二塁塁審にはベテラン審判員。いつもクルーを和ませてくれるベテランである。細かい質問に対しても、丁寧に応えてくれる大先輩である。
走者1塁のケースで、左中間に飛球が行った。三塁塁審の動きを確認。「よし、打球を追ったな」と確認し、打者走者を待ち受け触塁を確認し、何気に二塁方向を見た。そこに居るはずの大先輩・二塁塁審が居ない。
大先輩は一塁走者が二塁を通過したのを確認し、「カウンター」で三塁へ向かったのだ。
「球審は!?」
本来は「クロックワイズ」で球審が三塁カバーに来なくては為らないのだが、来ていない。
「そういえば、今日の球審は経験が浅かったな」などと感慨に耽っている場合ではない。
私は大先輩の後を追うように、「カウンター」で走者より速く動き、二塁ベース内側にポジショニングした。
セオリー無視の無謀行為ではあるが、塁を空けなかったし、見事綺麗に「カウンター」が決まった。
外野の判定に塁審が1人行ってしまうと、4つの塁を球審と2人の塁審で受け持つこととなる。これは物理的に不利であり、理不尽に感じてしまう。野球においてジャッジは重要であるにも関わらず、審判員はハンデを背負ってグラウンドに立っているのである。正に理不尽。
走者無しの場合は、レフト定位置からライトの定位置までの範囲を二塁塁審が受け持つ。そうなると、二塁ベースの担当者が居なくなる。一塁の触塁は、一番近くにいる一塁塁審に確認してもらおう。じゃあ、二塁ベースは誰が守ろうか。一塁塁審が走者と一緒に走るのも悪くは無い。学童の野球であれば、子供より速く走ることができる審判員も居るであろうが、中学生ともなると一試合は不可能である。
そこで「クロックワイズメカニクス」が効果を発する。走者は反時計回りに進塁して来るのであるから、三塁塁審が時計回りに進めば、それ程頑張って走らなくても、二塁ベース上での走者の触塁やタッグプレイに間に合うのではないか。これは、助かる。
打球が外野に飛び、二塁塁審が「GO OUT」と追ったならば、それに釣られるように三塁塁審が二塁ベースの内側へ走り込めば良いのである。
そして、がら空きになった三塁ベースには球審がカバーに走り、ランニング本塁打に備えて本塁には、走者の一塁触塁を確認してお役御免となった一塁塁審がカバーに来れば良いのである。
走者一塁の場合は、二塁塁審が内側にポジショニングを取るため、センター定位置よりライト側の打球が一塁塁審、レフト側が三塁塁審のテリトリーとなる。またまた、外野に飛球が行くと1人少ない状態となる。ましてや、今度は走者が二人である。
ここでも基本は「クロックワイズメカニクス」で動く。一塁塁審が外野へ行った場合は、一塁走者が二塁・三塁へと進塁するため、二塁および三塁塁審は動けない状態である。では、誰が打者走者の一塁触塁を確認するのか。これは球審の役割である。球審は内側に切れ込みながら、打者走者の一塁触塁を確認する。その後、他の塁審や走者の動きを確認しながら本塁でのプレイに備える。三塁塁審が外野へ行った場合は、非常に分かりやすい。一塁塁審は一塁、二塁塁審は二塁を守れば良い。空いた三塁には球審がカバーに向かい、本塁には一塁塁審が、となる。
触塁を確認する際のポーズには、「サラッと見る派」と「停まって確認派」が居るようである。
私は前者で確認していたが、どうにも「周囲への説得力」に欠けるように感じており、ある先輩より指摘されたのもあり、後者の確認ポーズをやってみようと考えている。
とは言え、走者が動き、野手も動き、送球も動く状態であるから、審判クルーの迅速な動きが必要となる。その中で、触塁・タッグプレイ・インターフェア・オブストラクション・タイムプレイなどの要素を判定しなくてはならない。基本的には「ボールから目を切るな」であるが、ボールの所在に気を取られ、「カットマンと同じライン」に入ってしまい、守備妨害状態となる場合も結構ある。引退したサッカーの中田英寿選手のように、瞬間的に周りの状況を確認し、動けるようになれば良いのであろうが、なかなか難しい。
走者が二・三塁に進んだ場合は、得点の可能性があることから基本的に球審は動かないため、二塁塁審がキーマンとなる。二塁塁審は基本的に、打球が右側に飛べば一二塁間内側へ動き、左側に飛べば三遊間内側へ移動する。その位置で二つの塁をカバーするのである。
二塁塁審が反時計回りに動くケースを「カウンター」と呼ぶ。走者が二塁にいるケースなどで、左側に打球が飛び、三塁塁審が追った場合、二塁塁審は二塁走者と共に「徒競走」状態となる。これに引きずられて、一塁塁審は一二塁間へ移動するのである。
二塁塁審の技術は、ある程度経験が必要となる。走者の走力や外野からの返球、中継からの返球など、ボールの動きを幾通りか想定していないと、その後のプレイに対応できない。勝手に「ここはバックホームだな」などと決め付けていると、初めから本塁を諦めて次走者に対するプレイを仕掛けてくる場合がある。このような場合は、色々想定していないと対応が出来ない。あくまで自然体で待つこととしているが、集中力を高めていないと虚を突かれる。
先日、私は一塁塁審を担当し、二塁塁審にはベテラン審判員。いつもクルーを和ませてくれるベテランである。細かい質問に対しても、丁寧に応えてくれる大先輩である。
走者1塁のケースで、左中間に飛球が行った。三塁塁審の動きを確認。「よし、打球を追ったな」と確認し、打者走者を待ち受け触塁を確認し、何気に二塁方向を見た。そこに居るはずの大先輩・二塁塁審が居ない。
大先輩は一塁走者が二塁を通過したのを確認し、「カウンター」で三塁へ向かったのだ。
「球審は!?」
本来は「クロックワイズ」で球審が三塁カバーに来なくては為らないのだが、来ていない。
「そういえば、今日の球審は経験が浅かったな」などと感慨に耽っている場合ではない。
私は大先輩の後を追うように、「カウンター」で走者より速く動き、二塁ベース内側にポジショニングした。
セオリー無視の無謀行為ではあるが、塁を空けなかったし、見事綺麗に「カウンター」が決まった。
コメント