野球の塁間の距離は90フィートある。
ちなみに本塁と一塁および三塁のベースは、「90フィートの正方形」の内側に位置する。つまり、ベースの角の部分が正方形の一角と合致するようにセットされている。ところが、二塁ベースだけは「ベースの中心」が「90フィートの正方形」の一角に合致していることから、一二塁間および二三塁間の距離はベース半分だけ長いこととなる。微妙なことのように思うが、走者のリードは様々であり、スタートも十人十色なので問題にもならない。アバウトな野球らしい決め事である。
もともとは、一塁と三塁ベースも正方形の一角に中心を合わせていたようであるが、ファウルラインに合致させなければ、塁上のフェア・ファウルの判定ができないことから、ファウルラインにベースの一辺を合わせたようである。また、二塁ベースを外側に設置しておいた方が走者が回りやすいという説もある。
後者の説はやや「眉唾」的であるが、正式なベースの配置はこのようになっている。

9月に入っても好調を維持し、「呪われた4番」というレッテルを打破しそうなニューヨーク・ヤンキースのアレックス・ロドリゲス選手が、8月31日のボストン・レッドソックスとの直接対決で見せた迫力あるアピール(抗議)!?は、日本の球場と大リーグの球場の造りの違いが審判団に幸いした好事例であった。
レッドソックスのケビン・ヨーキリス選手が三塁ゴロで二塁から三塁を窺った際、打球を捕球した三塁手のアレックス・ロドリゲス選手は二塁走者にタッグにいったが、二塁走者は、そのタッグをかわすように内側へ膨らみながら走り、塁審のジャッジは「ノータッグ」で三塁セーフの判定。アレックス・ロドリゲス三塁手は、一塁へ送球し打者走者をアウトにしましたが、二塁走者がスリーフットラインを逸脱してタッチをかわしたと猛抗議し審判団が協議。ヤンキースのジョー・トーリ監督らが見守る中で審判団が下した結論は、セーフの判定を撤回してアウトとしました。この時の判定に、天然芝仕様の球場の特徴が大いに反映したようです。
大リーグでは、一時期全天候型ドーム球場と併せて人工芝仕様が全盛の時代があったが、硬い人工芝が選手生命を短縮するとの判断から、今では天然芝仕様の球場が大勢を占めるようになりました。天然芝の球場では、走路部分が刈り込んだ状態となっており、この刈り込む幅が塁間を結んだ「スリーフットレーン」となっています。
審判団の協議で重要な「証拠」となったのが、二塁走者がタッグをかわそうとした時に「芝の部分に足がかかった」という事実であり、スリーフットレーンからラインアウトしたと判断し走者をアウトとしたようです。
実際、石灰などで球場に描かれたスリーフットレーンは、本塁から一塁までの内、後半部分の半分のみですから、基準がない場合にスリーフットレーンから出ているか否かを判断するのは困難な事です。
アメリカ野球はストライクゾーンなどが極端にアウトコースに広く見える場合もあることなどから、「アメリカ野球はアバウト」のように思われがちですが、球場の作りなどにもルールの根幹が反映されており、そこにも歴史の違いを感じます。
四角四面で野球規則を適用しようとしているかのように見えて、自分有利に判定を促そうと抗議を繰り返す日本のプロ野球などは、今一度野球の原点を見つめ直す必要があるのでしょう。人工芝球場が選手生命を短縮することを言われて久しいにも関わらず、未だに根本から改善しようとしない経営者の姿勢には辟易としてしまいます。我北海道日本ハムファイターズには、競技者およびファン本位の球団であり続けてもらいたいと切に願うばかりです。

その日本ハムの「Mr.Fighters」こと田中幸雄選手が、先日の試合でスクイズバントを試み、成功したかに見えました。打球を処理したロッテ・成瀬投手は本塁を諦めて一塁へ送球しましたが、打者走者である田中選手の背中に当って、ボールはライト前へ転々とし、二塁走者も三塁を蹴って一気に本塁へ。
ところが田中選手は本塁・一塁間の後半に明示されている「スリーフットレーン」から逸脱して走っていたため、一塁手への守備が行われている際に、守備を妨害したとして送球が田中選手に当たった瞬間「ボールデッド」。この際に、成瀬投手が打球を処理した時点で三塁走者は本塁に達していましたが、「打者走者が一塁に達する前の妨害」により得点は認められませんでした。
この時の得点ボードは、最初に「2」が表示され、その後「1」に訂正。最後には得点なしとなりました。

ルールブックには、【2.44 インターフェアランス(妨害)】の語句説明の【原注】に明記されています。

2・44     INTERFERENCE 「インターフェアランス」(妨害)
(a)攻撃側の妨害 ― 攻撃側プレーヤーがプレイしようとする野手を妨げたり。さえぎったり、はばんだり、混乱させる行為である。
審判員が打者、打者走者または走者に妨害によるアウトを宣告した場合には、他のすべての走者は、妨害発生の瞬間にすでに占有していたと審判員が判断する塁まで戻らなければならない。ただし、本規則で別に規定した場合を除く。
【原注】 打者走者が一塁に到達しないうちに妨害が発生したときは、すべての走者は投手の投球当時占有していた塁に戻らなければならない。
【注】 右〔原注〕は、プレイが介在した後に妨害が発生した場合には適用しない。

6・05     打者は、次の場合、アウトになる。
(k) 一塁に対する守備が行なわれているとき、本塁一塁間の後半を走るにさいして、打者がスリーフットラインの外側(向かって右側)、またはファウルラインの内側(向かって左側)を走って、一塁への送球を捕えようとする野手の動作を妨げたと審判員が認めた場合。この際はボールデッドとなる。
ただし、打球を処理する野手を避けるために、スリーフットラインの外側(向かって右側)またはファウルラインの内側(向かって左側)を走ることはさしつかえない。
【原注】 スリーフットレーンを示すラインはそのレーンの一部であり、打者走者は両足をスリーフットレーンの中もしくはスリーフットレーンのライン上に置かなければならない。

日本では内野に芝が張り詰められた球場は希少であり、「芝の刈り込み」によるスリーフットレーンの基準はない場合がほとんどである。もちろん、我々がジャッジする球場は全て内野が「土」であり、スリーフットレーンは本塁・一塁間の後半にしか示されていない。
他の塁間でスリーフットレーンが問題となるのは挟撃プレイであるが、審判員の中では「野手の腕の長さ」を基準としている。つまり、野手が目一杯に腕を横に広げた場合、身体の中心からグラブの先までが概ね「スリーフィート(約90?)」であることから、塁間ライン上にいる野手がボールを持った腕を目一杯に伸ばした状態を走者がかわした場合には「スリーフットライン・オーバー(ラインアウト)」という判断基準にしている。
目に見えない基準により一瞬のプレイの判定をしなくてはならないのが「審判の目」である。

コメント

nophoto
yxdtb269
2008年2月7日12:12

2008年度改定内容がよく理解できません。今までの走路っていったい何?

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