激突

2007年9月5日
ファウルボールの飛球がフェンス際へ飛んだ場合、審判員(球審および1・3塁審)はフェンス際の捕球を確認する必要がある。これは、フェンスに当たったボールを捕球したり、観客の妨害などの有無を見るためである。
審判員に成り立ての頃は、野手よりも早く反応し、落下地点近くまで駆けて行ったものである。
この場合の「基本動作」としては、あくまでも野手を優先させた上で、フェンス際のトラブルを確認できるよう角度を持たせてポジショニングする。あとは、グラブの正面を確認できる方向へ走り込めれば最高であろう。
昨年、捕手よりも早くバックネット近くまでファウルボールを追って行って、捕手が来なかったという珍プレイがあった。ボールばかりを注視し、追ったが故の笑い話である。
球審は、捕手が動いたら逆側に身体を開けと教えられるが、始めた頃はボールを一生懸命追ってしまうものである。野手の背中側からのジャッジ&コールは説得力が無く、決して推奨されることではない。
たとえ落球しても「ファウルボール」でボールデッドになり、確捕していれば「アウト」であるのだから、背中側にポジショニングせざる得ない場合は、ボールの所在を覗き込んででも確認した上でジャッジしても問題はない。
深い位置でのファウルボールの場合は、走者のタッグアップもあり得るが、野手が捕球したか否かには関係がない。触れた時点でタッグアップが可能であり、落球した場合はファウルボールであるから走者は進塁できない。ファウルボールは慌てず騒がず、されど角度だけは取ってフェンス際まで走ることができれば良いであろう。

先日のゲームでは、クロスゲームで回も押し迫った時に、一塁手がファウルボールに対しフライングキャッチを試み、そのままコンクリートのフェンスに激突した。私はファウルボールがフェンス際に上がったことから、最短距離でフェンスに近づいたため、一塁手が跳んでから激突するまでをスローモーションのように見てしまった。一塁手は左の肘を負傷して途中交替となったが、あのようなプレイが日常茶飯事行われていることを考えると、フェンスの安全性を疑問視してしまう。

ルールブックには、野球は「囲いある競技場」で行うスポーツであるとされ、ファウルラインから内側の寸法は勿論、球場の大きさも「〇〇m以上」という表記で記されている。
外野フェンスは250フィート(約76m)以上で、可能であれば両翼320フィート(98m)、中堅400フィート(約122m)以上あることが優先して望まれるとしている。またファウルエリアは、ファウルラインから60フィート(18.3m)以上にフェンスを設けるよう示されている。
他のスポーツで、競技場の大きさがこれだけいい加減なスポーツも珍しい。特に球技で、フィールドの大きさがまちまちなのは野球だけであろう。
それでも日本の球場は左右対称となっている場合がほとんどである。これも国民性が反映されているように感じる。
一方日本人メジャーリーガーの影響で、すっかりお馴染みになった大リーグの球場。ヤンキースタジアムやフェンウェイパークという由緒も歴史もある球場が左右非対称であり、扁平しているは周知のことと思う。
また、日本でも今年から「エキサイティングシート」などと銘打って、採用している球場が増えた「スタンドの迫り出し」は、大リーグではかなり以前から採用されている。ファンサービスが徹底している大リーグらしい試みであり、その頃の日本の球場はフェンスの上に無粋で観辛い金網が設置されており、とても入場料を頂いて野球観戦を提供しているとは思えないような席もあった。

松井秀樹が札幌で初めて本塁打を打ったのは、札幌円山球場ではなく札幌ドームのオープン戦であったと記憶している。その試合をたまたま譲り受けたチケットで観戦に行った我親子は、内野席ということでワクワクしながら球場へ向ったが、割り当てられた席はライトの定位置よりポール側であった。どこが「内野席」だと憤慨した上で、只チケットゆえに我慢をしたが、とても「内野席」の料金を徴収できるような席ではなかったのを覚えている。唯一、松井の札幌初アーチが、そのライトポールへ直撃したのが目の前で見られたのが救いであったが・・・。

札幌ドームは、サッカーの世界選手権用に造られたスタジアムであるため、野球仕様とした場合に数々の難点が指摘されてきた。バックネットの目が細かくプレイが観辛いや、バックスクリーンがないためボールが見難いなどなど。
その一つに、「ファウルゾーンが異常に広い」がある。つまり観客との距離が有りすぎるのだ。重ねて外野のフェンスも異常に高いため、外野席では自分の真下で繰り広げられているフェンス際のプレイは全く見えない。
ファウルゾーンの広さは、野球の起源から考えると「可能な限り小さい方」が正しいのであろう。つまり、ファウルは打ち直しという特殊ルールに守られた「打者のため」のスポーツであるのだから、ファウルゾーンは可能な限り小さい方が正しいと考えて良いのであろう。小さければダイビングキャッチなどはなくなるようにも思うのだが。

大リーグの好プレイ・珍プレイなどを観ていると、迫出した観客席に飛び込んでファウルフライに挑むシーンを見かけるが、あれも計算尽くされたフェンスの高さなのであろう。
日本人とアメリカ人の絶対的な身体の強さの違いもあるが、球場の造りの違いもある。球場の安全性は、時としてプレイヤーを横に置き、観客中心に考えられているのでは、と感じてしまうのは私だけだろうか。

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