今年も日本選手権の決勝戦に立ち会えたことに、審判部ならびに同僚の審判員諸氏、そして選手諸君や両チーム関係者の方々に感謝している。そして、ジャッジの内容には不満は残るが、また自己反省をして次につなげたいと考えている。しかし、不満の残るジャッジを書き記しておかなければ、「嫌なことや悪いことは、さっさと忘れる」という前向き思考が働き、ろくな反省もせずに次に向かってしまうので、あえて公表し皆様の厳しい目に晒しておくことにする。
先日は、昨年と同じ2塁塁審が担当であった。前日、予感はあったので、クロックワイズやカウンターの動き、位置取りなどを復習しておいた。と言うのも、春季大会から練習試合を含めて、球審を務める機会が圧倒的に多いため、塁審として心得を含めて経験不足状態となっているのは否めないからである。案の定、前回の2塁塁審の際には一死1・2塁で、左中間への飛球で2塁走者のタッグアップを確認したまでは良かったが、その後の動きが中途半端で、1塁塁審や球審に迷惑を掛けた。それよりも選手やベンチ・観客への説得力に欠けた動きであった。その後、何事も無かったから良かったようなものの、自己反省とは「何かあった時」の為に、必ず深く反省して心に刻む必要があると考えている。
さて復習に加えて、第一試合でベテラン審判員の2塁塁審の動きを確認してから、試合に挑んだがやはり凡ミスを繰り返した。自分で判っているだけでも、少なくとも3度もあった。いずれも事なきを得ているが、自分では納得していない。それに、ベテラン審判員からも指摘を受けた(いつも良く観ていて下さり、多くの助言を頂いている。感謝・感謝)。
2塁塁審の基本的ジャッジは「アウト・セーフ」が圧倒的に多い。ストライク・ボールもなければ、ファウル・フェアもなく、ハーフスイングのリクエストも来ない。であるにも拘らず、塁審のキーマンと言われる(もちろん、審判の責任は皆同じである)。それは、行動範囲が広いことに起因していると思われるのと、ポジショニングが走者の有無により極端であること、そしてカバーリング分担も多いことが考えられる。両サイドの1・3塁塁審の位置を把握しつつ、右に左に動かなくてはならない。がしかし、動く割にはコールするのは「アウト・セーフ」がほとんどである。たったこれしか機会のないジャッジの「コール」を、同じトーンでしていてはメリハリがない。明らかな凡フライをキャッチしたのを、大きな声で「He’s OUT」とやっても間が抜けた感じがするし、ある意味「誰も見ていない」状態である。コールやジェスチャーに「切れ」が必要なことは、前出のベテラン審判員からも指導されているが、それと凡フライで大声を出すことは違うのである。
それを念頭に試合に挑んだが、2塁塁審で多いタッグプレイで凡ミスを繰り返した(自分では2度繰り返したと思っている)。2塁塁上は盗塁や2塁打、ダブルプレイなどのクロスプレイが多い。盗塁などで、捕手の送球が明らかに逸れたケースで派手に「セーフ」などとやると、「ボールがセンターに抜けているのに・・」と白けたジャッジになってしまう。そう考えていたりすると、目の前で遊撃手が送球をジャッグルした場合など、二塁ベース周辺にいる走者や野手、そして塁審には「明らかなセーフ」が判っていても、二塁ベースから遠い位置の球場に居る他の選手やベンチ・観客などには、「明らかなセーフ」が見えない場合がある。そこで「セーフ」のコールが無ければ、間が抜けた感じよりも、「審判、ちゃんと見ているのか」という不信感につながるのである。
一塁で良くある「SAFE! Off the BAG」は実に説得力がある。タイミング的には「アウト」に見えても、「一塁手の足が離れている」とコールすることで、球場全体が納得してしまう。そして、「あの審判員は良く見ている」となるのである。
クロスプレイになった場合の「セーフ」には理由がある。盗塁などで、タッグよりも足が入るのが速い場合が通常の「セーフ」である。しかし、タイミングは微妙だが空タッチであったり、併殺のピボットマンが送球をお手玉したりした場合は、「セーフ」にもう一味加えることで説得力が増す。空タッチは「No TAG!!」、お手玉は「Juggle the ball」を加えると球場全体が納得するのであろう。
先日の試合では、この「No TAG」をコールするべきケースが2度あった。野手も走者も「セーフ」であるのは判っている。そして野手のタッグの仕草もなかったように見えた。であるが「No TAG !!」をコールするべきであったと反省している。
これも、タイミングが遅れると間が抜けたようになると感じているのだが、自己防衛のためには、遅れても出すべきなのであろう。
塁審は難しく、審判の奥深さを改めて感じている。

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