ファウルカップ
2007年6月19日仕事が煩雑になってきたために、なかなか書けないでいる。と言っても、休日になれば、どこかで審判員としてグラウンドに立っている。シーズンインしてから土日祭日で21日間の休日があったが、休んだのはたったの4日間だけである。シニアの公式戦・練習試合、おじさんたちの朝野球、そして高校野球。色々なカテゴリーの選手たちと出会い、それはそれで面白い。何より皆「野球を楽しんでいる」ことに意義を感じ好感が持てる。「スポーツの原点」は楽しむことである。よく「練習は厳しく、試合は楽しく」などという言葉があるが、本当に好きなスポーツであれば「すべてが楽しく」となるはずである。そうでなければ継続できないはずであり、表面的な「辛さ・厳しさ」は物の本質ではないのであろう。私自身、「審判が辛い」と思ったことはない。実に「楽しい」のである。それは、監督からの猛抗議を受けている時も然り、ジャッジに対する選手からの冷たい視線や冷笑を受けている時も然りである。常々「審判が目立っては駄目だ」と心に言い聞かせながらも、ついついクロスプレイなどでは「選手や観客の目」を意識してしまう。彼らの視線を十分に集め、ジャッジを下した後の反応を聴くことは「至福の時」である。
という邪念を抱きながらジャッジをしていると、天罰が下るのが世の常か。痛烈なしっぺ返しを喰らった。誠に「冷や汗・脂汗」である。
左投手と左打者の対戦。走者一塁で捕手はアウトコース低めに身体を沈めて構える。ところが投手の投じたボールは、打者のインコース足許へ。身体を沈めていた捕手は反応できず、ミットに当たることもなくボールを後逸した。捕手が慌てて後ろを振り向くと、そこにボールがあった??。
その瞬間、私の脳天を突き抜ける衝撃が走った。「うっ!?」とうめいた私は、「ボール」のコールもそこそこにうずくまった。
投手が投じたボールは、打者の足許でワンバウンドし、捕手のミットをかすめて私の股間に直撃したのである。捕手は、私の股間から落ちたボールを拾い、盗塁しようとした走者を牽制した。
そこまで見届けた私は「苦しい。痛い。吐き気がする」。立っていられず、膝を付いてしまった。周囲からの嘲笑が聞こえたが、笑い事ではない。そこに一塁コーチャーが近付いてきて、「冷却スプレー良いですか?」と聞いた瞬間は、漫才コンビであれば笑うところであるが、思わず「馬鹿野郎!!腰を叩け!」と言ってしまった。
審判を始めてから、初めてファウルカップが役に立った瞬間である。球審をやりだした当時、ベテラン審判員から「カップしているかい?」と聞かれ、何のことやら判らなかったのを思い出した。そのベテランは「絶対に危ないから、した方がいいぞ」と言って頂き、帰り道に野球用品店へ向かったのを覚えている。その時に購入したファウルカップが初めて活躍してくれたのである。
球審は、捕手と同様に股間にファウルカップ(バナナカップとも言う)を装着する。球審は大抵の場合、捕手の後ろに隠れる位置取りをするため、ボールが直撃するのはマスク(顔面)やレッグガード(スネ当て)が多い。プロテクターで胸部および腹部を防護しているが、プロテクターが活躍するのは鎖骨の防護が主である。意外と多いのが腕や手である。ここは防護していないため、いわゆる直撃である。指を開いていたりすると、ボールがかすめただけで骨折する可能性もある。今年も手の甲を直撃して、2週間ほど痛みが引かなかった。プロテクターにアームガードを装着できるタイプもあるが、半袖になる夏には向かない。結局、肉のついた箇所に当たるのを願うばかりである。
私の場合、足も危ない。出来るだけアウトコースを見ようと、スロットポジションで捕手に近づくために、捕手のスパイクと私の足が接触することがある。球審は、投手がプレートを踏んだ時点で「GET SET」し、概ね足許を決めてしまう。捕手がサインを出し、投手が投球モーションを起こした時点でタイミングを計って身を沈めるのだが、この時に後ろへ下がる捕手がいる。3人に1人の割合で、サインを出しているポジションから、後ろへ下がるのである。下がるだけなら問題ないが、併せて左右に大きく動く捕手もおり、この際には私のシューズと選手のスパイクが接触するのである。
機会があれば、私のシューズをご覧頂きたい。シューズの先は傷だらけである。
これも、審判員の勲章なのかもしれない。
という邪念を抱きながらジャッジをしていると、天罰が下るのが世の常か。痛烈なしっぺ返しを喰らった。誠に「冷や汗・脂汗」である。
左投手と左打者の対戦。走者一塁で捕手はアウトコース低めに身体を沈めて構える。ところが投手の投じたボールは、打者のインコース足許へ。身体を沈めていた捕手は反応できず、ミットに当たることもなくボールを後逸した。捕手が慌てて後ろを振り向くと、そこにボールがあった??。
その瞬間、私の脳天を突き抜ける衝撃が走った。「うっ!?」とうめいた私は、「ボール」のコールもそこそこにうずくまった。
投手が投じたボールは、打者の足許でワンバウンドし、捕手のミットをかすめて私の股間に直撃したのである。捕手は、私の股間から落ちたボールを拾い、盗塁しようとした走者を牽制した。
そこまで見届けた私は「苦しい。痛い。吐き気がする」。立っていられず、膝を付いてしまった。周囲からの嘲笑が聞こえたが、笑い事ではない。そこに一塁コーチャーが近付いてきて、「冷却スプレー良いですか?」と聞いた瞬間は、漫才コンビであれば笑うところであるが、思わず「馬鹿野郎!!腰を叩け!」と言ってしまった。
審判を始めてから、初めてファウルカップが役に立った瞬間である。球審をやりだした当時、ベテラン審判員から「カップしているかい?」と聞かれ、何のことやら判らなかったのを思い出した。そのベテランは「絶対に危ないから、した方がいいぞ」と言って頂き、帰り道に野球用品店へ向かったのを覚えている。その時に購入したファウルカップが初めて活躍してくれたのである。
球審は、捕手と同様に股間にファウルカップ(バナナカップとも言う)を装着する。球審は大抵の場合、捕手の後ろに隠れる位置取りをするため、ボールが直撃するのはマスク(顔面)やレッグガード(スネ当て)が多い。プロテクターで胸部および腹部を防護しているが、プロテクターが活躍するのは鎖骨の防護が主である。意外と多いのが腕や手である。ここは防護していないため、いわゆる直撃である。指を開いていたりすると、ボールがかすめただけで骨折する可能性もある。今年も手の甲を直撃して、2週間ほど痛みが引かなかった。プロテクターにアームガードを装着できるタイプもあるが、半袖になる夏には向かない。結局、肉のついた箇所に当たるのを願うばかりである。
私の場合、足も危ない。出来るだけアウトコースを見ようと、スロットポジションで捕手に近づくために、捕手のスパイクと私の足が接触することがある。球審は、投手がプレートを踏んだ時点で「GET SET」し、概ね足許を決めてしまう。捕手がサインを出し、投手が投球モーションを起こした時点でタイミングを計って身を沈めるのだが、この時に後ろへ下がる捕手がいる。3人に1人の割合で、サインを出しているポジションから、後ろへ下がるのである。下がるだけなら問題ないが、併せて左右に大きく動く捕手もおり、この際には私のシューズと選手のスパイクが接触するのである。
機会があれば、私のシューズをご覧頂きたい。シューズの先は傷だらけである。
これも、審判員の勲章なのかもしれない。
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