学生たちの質問より

2007年6月11日
学生たちの疑問はシンプルである。非常に初歩的な所で、誰にも聞けずにそのままとなっているケースがほとんどである。「えっ、そんなことも知らずに野球やっていたの」と言うと、「だって、誰も教えてくれなかったから」と言う応えである。確かに当たり前であろう。小学生の低学年からやり始めた野球であるが、ルールブックを一度も見たことがない選手がほとんどであろう。自分がやっているゲームの「ルールを知らない」と、照れくさくて、格好悪くて、今更言えないのであろう。
選手諸君よ、全然心配することはない。審判をやっている私でさえ、判らずに迷うことや反省することは山ほどある。日々経験して、勉強していけばいいのである。
私の場合、ルールを覚えるキッカケは野球漫画であった。古典的な「巨人の星」や「ドカベン」であった。ところが、この野球漫画にはストーリー性を重視するあまりの嘘がある。ルール解釈の問題ではなく、ルール違反が平然と描かれていたりするのである。これが厄介なことに、読者の興味を惹いたりすることが多い。
例えば、どの場面で「三振振り逃げ」出来ないのかが分かるであろうか。またどんな時に「インフィールドフライ」となるか分かるであろうか。知っているようで、審判任せのことが多い。では、審判が解釈ミスをしたらどうなるのであろうか。それは「審判の判定は最終である」という一文に守られるのである。
「三振振り逃げ」は無死または一死の場合、一塁に走者がいる場合出来ないのであるが、二死の場合は走者の有無には関係なく出来る。また、ワンバウンドを空振りした場合は振り逃げ出来るのは判るが、ど真ん中のストライクを見逃し三振となったが、捕手が落球した場合はどうであろう。これも振ってはいないが「振り逃げ」ができる。つまり「3ストライク目を捕手がインフライトの状態(ノーバウンド)で確捕出来なかった場合」が「三振振り逃げ」が可能な場合のルールである。
「インフィールドフライ」は攻撃側の不利益を取り除くルールであるが、審判員が「インフィールドフライ」をコールしなければ成立しないことは、あまり知られていない。良くあるのはベンチから「インフィールドフライだ」と声が掛かり、打者走者が走らないケースがある。ところが審判員が「インフィールドフライ」を宣告せずに野手が落球した場合、ダブルプレイとなることがある。打者走者が走ってさえいれば、ダブルプレイは避けられるのだが、トラブルが起こる時は凡ミスが重なったりするものである。身体やグラブに当たれば「故意落球」となることもあるが、この判断は難しい。ゆえに、これらのトラブルを避けるための予防として「インフィールドフライ」を宣告するのである。さて「インフィールドフライ」を宣告した場合でも、ボールデッドではなくインプレイである。つまり、走者は危険を犯して進塁しても良いのである。
たまに見かけるのが、「インフィールドフライ」を宣告した上での落球である。昨年こんなことがあった。一死走者1・2塁の場面で、インフィールドフライを宣告されたフライを野手が落球し、こともあろうか落球したボールを蹴飛ばしてしまったのである。走者はベンチの「走れ、走れ」の号令のもと、訳も判らず1つずつ進塁していたが、ルールを判っていれば、おそらく2塁走者は本塁へ達していたであろう。
こんな判っているようで、知らない質問に答えるのも審判員の役割なのであろう。

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