悲しい出来事に触れて思う
2007年6月7日ある高校3年生が亡くなった。若い人間が亡くなることは、実に切なく、悲しい出来事である。残された遺族の心痛を思うと言葉を失うし、亡くなった本人の無念は幾ばくであろうか。ご冥福を心から祈りたい。
亡くなった原因は、あるスポーツの試合中のコンタクトプレイであったらしい。そのスポーツはコンタクトプレイが非常に多い競技ではあるが、近代スポーツであるがゆえに、安全性には十分配慮されていた。特に頭部の保護は十分に考えられた競技であり、全員ヘルメットを付けることが義務付けられている。そんな競技で試合中に気分が優れなくなり、ゲームドクターの判断によりそのまま病院に直行したが、ご家族のおよび医療チームの懸命の努力報われず、帰らぬ人となってしまった。死因は脳内出血。試合中のコンタクトプレイが産んだ悲劇である。
最近私の身近な所でも同様の事故があっただけに、背筋の凍る思いであり、胸が締め付けられる何とも言えない感情に陥ってしまった。硬式ボールを使った野球では、同様の事故が十分に考えられるのである。さて、シニア野球の準備は万全と言えるであろうか、非常に疑問である。亡くなった彼が行っていた競技の試合会場にはゲームドクターがいたにも拘らず、彼は命を落としてしまった。しかし、そのドクターの責任を問うものではなく、そういう万全と思える体制を整えていても、こういう悲劇が起こるということである。だから、試合会場に救護班不要であるという理論は成り立たない。だからこそ、救護班やゲームドクターは必要なのである。
野球の場合、頭部へのデッドボールは日常茶飯事起こる。ヘルメットをしているため大丈夫と思いがちだが、亡くなった彼もヘルメットはしていた。また、胸部への打球直撃も多々ある。今年の初めに胸部プロテクターの試作品を検討していたスポーツメーカーが、現場の強い意向を受けて先月より発売を始めた。胸部に打球が直撃し「心臓しんとう」を引き起こすことは、軟式ボールでも十分ありえるのである。この対応としてAEDをすでに購入しているシニアのチームもあると聞いているが、シニア野球全体でどのように対処しようとしているのであろうか。腕や脚を骨折して命を落とすことはない。じん帯が切れようと同様である。しかし、頭部と心臓はそう簡単な話ではない。そんなことは百も承知の割には、大会要領などを読むとガッカリさせられる。「試合中に起きた事故は、各所属チームが責任を負う」。責任を誰が負おうと関係ない。選手、子供たちの命を守ることをどうするのかが問題である。
頭部へのデッドボールの後、臨時代走を出すまでは良いが、その後の出場を誰が判断して許可するのか。つまり、命に関わりなしと誰が「診断」して出場を許可するのか。誰が出場を止め、病院へ行かせるのか。誰が救急車を呼ぶ判断をするのか。
その判断が出来る人間を、せめて試合会場に常駐させることが重要であるのではないか。
昨年だったか、一塁へのヘッドスライディングは、構えた時点で「アウト」にしようとの申し合わせがあった。一塁へのヘッドスライディングは非常に危険である。一塁手は野手の送球を捕ることに全神経を集中するため、打者走者の行動には無頓着である。このため送球が逸れた場合は、打者走者の位置に関係なくボールを捕りにいく。その時、ベース手前で無防備に寝そべっている打者走者と接触することによる大怪我が考えられる。また、ヘッドスライディングをした打者走者が頚椎損傷になった事例もある。この選手は、有名な野球学校のレギュラー選手であったことから、技術的に問題があるとは思えない。要は危険なプレイなのである。そのプレイを防止しようとの申し合わせがあったはずだが、今年は何度も見ている。
野球にしろ、その他のスポーツにしろ、多少の怪我や傷害は致し方ないのは承知している。しかし、青少年の育成を高らかに謳うのであれば、命を守ることは関係する大人の最低限の役割ではないだろか。
悲しい出来事に接し、大人の責務を改めて強く思った。
志半ばにして若い命を落とされた、ある高校3年生のご冥福をお祈りしたい。
亡くなった原因は、あるスポーツの試合中のコンタクトプレイであったらしい。そのスポーツはコンタクトプレイが非常に多い競技ではあるが、近代スポーツであるがゆえに、安全性には十分配慮されていた。特に頭部の保護は十分に考えられた競技であり、全員ヘルメットを付けることが義務付けられている。そんな競技で試合中に気分が優れなくなり、ゲームドクターの判断によりそのまま病院に直行したが、ご家族のおよび医療チームの懸命の努力報われず、帰らぬ人となってしまった。死因は脳内出血。試合中のコンタクトプレイが産んだ悲劇である。
最近私の身近な所でも同様の事故があっただけに、背筋の凍る思いであり、胸が締め付けられる何とも言えない感情に陥ってしまった。硬式ボールを使った野球では、同様の事故が十分に考えられるのである。さて、シニア野球の準備は万全と言えるであろうか、非常に疑問である。亡くなった彼が行っていた競技の試合会場にはゲームドクターがいたにも拘らず、彼は命を落としてしまった。しかし、そのドクターの責任を問うものではなく、そういう万全と思える体制を整えていても、こういう悲劇が起こるということである。だから、試合会場に救護班不要であるという理論は成り立たない。だからこそ、救護班やゲームドクターは必要なのである。
野球の場合、頭部へのデッドボールは日常茶飯事起こる。ヘルメットをしているため大丈夫と思いがちだが、亡くなった彼もヘルメットはしていた。また、胸部への打球直撃も多々ある。今年の初めに胸部プロテクターの試作品を検討していたスポーツメーカーが、現場の強い意向を受けて先月より発売を始めた。胸部に打球が直撃し「心臓しんとう」を引き起こすことは、軟式ボールでも十分ありえるのである。この対応としてAEDをすでに購入しているシニアのチームもあると聞いているが、シニア野球全体でどのように対処しようとしているのであろうか。腕や脚を骨折して命を落とすことはない。じん帯が切れようと同様である。しかし、頭部と心臓はそう簡単な話ではない。そんなことは百も承知の割には、大会要領などを読むとガッカリさせられる。「試合中に起きた事故は、各所属チームが責任を負う」。責任を誰が負おうと関係ない。選手、子供たちの命を守ることをどうするのかが問題である。
頭部へのデッドボールの後、臨時代走を出すまでは良いが、その後の出場を誰が判断して許可するのか。つまり、命に関わりなしと誰が「診断」して出場を許可するのか。誰が出場を止め、病院へ行かせるのか。誰が救急車を呼ぶ判断をするのか。
その判断が出来る人間を、せめて試合会場に常駐させることが重要であるのではないか。
昨年だったか、一塁へのヘッドスライディングは、構えた時点で「アウト」にしようとの申し合わせがあった。一塁へのヘッドスライディングは非常に危険である。一塁手は野手の送球を捕ることに全神経を集中するため、打者走者の行動には無頓着である。このため送球が逸れた場合は、打者走者の位置に関係なくボールを捕りにいく。その時、ベース手前で無防備に寝そべっている打者走者と接触することによる大怪我が考えられる。また、ヘッドスライディングをした打者走者が頚椎損傷になった事例もある。この選手は、有名な野球学校のレギュラー選手であったことから、技術的に問題があるとは思えない。要は危険なプレイなのである。そのプレイを防止しようとの申し合わせがあったはずだが、今年は何度も見ている。
野球にしろ、その他のスポーツにしろ、多少の怪我や傷害は致し方ないのは承知している。しかし、青少年の育成を高らかに謳うのであれば、命を守ることは関係する大人の最低限の役割ではないだろか。
悲しい出来事に接し、大人の責務を改めて強く思った。
志半ばにして若い命を落とされた、ある高校3年生のご冥福をお祈りしたい。
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