1イニング0/3

2007年5月18日
投手の投球回数は、プロ野球の完投勝利投手でも通常9回である。つまり27個のアウトを獲れば勝利に近づくのである。シニア野球の場合は7回、21個のアウトカウントを稼げば良いことになる。そのアウトプラスα分(走者の数)の数だけ、投手を含めた守備側は集中しなければならない。
さて審判員はというと、攻守交替ごとに控え室に戻るわけには行かないから、その倍の数だけ集中する必要がある。球審に至っては、両チームの投手が投げるボールに対して、毎回集中するため、100〜200回の集中とリラックスを繰り返すのである。これは実に疲れる。そんな試合の中で、審判のインターバルは攻守交替の時だけであるから、試合中盤の「お絞りとドリンク」に何度も救われた。父母の心遣いには、改めて感謝したい。
週末に向けて、雨が降り出した。雨中のジャッジは、別の意味で緊張感がある。技術的にはボールが滑ることや視界が悪いことから、珍プレイや稚拙なプレイが続出する。なかなか予想し難い。また集中力の維持が難しいため、精神的に強い選手、つまり多少のことでは動じない選手が多いチームは強い。雨も風も味方につけることが出来るようでなければ強豪チームにはなれないのであろう。
実は、私自身ドーム球場が嫌いだ。何と言っても、あの閉塞感が耐えられない。北海道に日本ハムファイターズが来てくれた事は、大変喜ばしいことであり大歓迎であるし、産まれた時からの巨人ファンに別離してファンになった。しかし、ドーム球場の息苦しさが嫌いで、今まで2試合しか観戦に行っていない。人工芝も野球の醍醐味と意外性を奪い取っているように思う。
野球は屋外でやるスポーツである。風も吹けば、雨も降る、寒い日もあれば、暑い日もある、そんな環境下で行われるスポーツである。確かに、真夏の日中に子供たちとグラウンドに立っていると、「こんな暑い中ではゲームは楽しめないだろう」と思うし、春先や晩秋深まる時期の試合は身体が縮んでしまい、好プレイどころか普通のプレイを望むことが酷に思える。審判員も人間であるから、「もっと良い天気の時に・・・・」と思うこともある。
しかし、選手の真剣な表情を見ていると、ハンマーで頭を殴られた思いに至るのである。審判員は選手がプレイを続ける限り、公明正大に両チームの間に入り、ジャッジを繰り返さなければならない。試合が始まれば、その試合の進行に対して全権を与えられるのであるから、選手以上に真剣に活気溢れる行動を取らなくてはならないのであろう。野球小僧たちの真剣さに負けないように。
昨年、土砂降りの中で「プレイボール」を宣告したことがある。1回表を終わり、1回裏の先頭打者に数球投げた時点で、西の空が光り、雷が鳴った。「試合中断」である。野球小僧たちは何とか試合続行させようと、土砂降りの中でブルーシートを広げ、重石代わりにトンボを持ってグラウンドを走り回っている。
暫くして、私は土砂降りの中で1人グラウンドに立ち「ノーゲーム」を宣告した。その時の両ベンチの野球小僧たちが発したヤンヤ喝采が未だに忘れられない。彼らは、たった1回0/3の試合でも、ずぶ濡れになりながら十分に楽しんでいたのである。野球小僧たちのパワーには頭が下がる。
さてさて、週末の天気や如何に。好天を望むが、雨もまた一興か。

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