本塁上の明暗

2007年5月12日
打者は走者になることに努め、走者は得点をすることに努める。ルールブックの前段に書かれている『試合の目的』である。ゆえに、守備側は得点を阻むために本塁を死守し、攻撃側は得点を挙げるため戦術・戦略を駆使する。それほど『本塁』は重要な聖地なのである。ゆえに、この場所でのコンタクトプレイは激しく、際どい場合が多く、球審の晴れ舞台でもある。
野球のベースは4箇所あるが、そのうち走り抜けていい塁は、一塁と本塁である。よく一塁ベースに向かってスライディングをする選手を見かけるが、「駆け抜けた方が早い」は常識である。そんなことは百も承知で一塁にスライディングする選手は後を絶たない。実は本塁も駆け抜けた方が早いにも関わらず、スライディングをするのが当たり前となっているように思う。何か勘違いをしていないであろうか。
スライディングをする裏側には、「捕手のブロック」がある。捕手のブロックをかわしてベースタッチする方法として、スライディングを選択するのであろう。では、捕手のブロックはどのようにするのであろうか。ルールブックには、その定義が書かれていない。捕手は「ボールを持つか、正に捕球しようという時点」で始めて「走者の走路に位置すること」が許されるのであり、ブロックして良いとは書かれていない。日本では、「捕手のブロック=本塁を死守」というイメージであり、ホームベースを隠すことが名捕手という間違った概念がある。そのくせ、助っ人外国人が本塁上でタックルもどきに駆け抜けてくると、「危険なプレイ」と新聞紙上を賑わせる。防具をつけた捕手のブロックが良くて、生身の走者のタックルはラフプレイなのであろうか。
大リーグの試合を観ていて本塁のクロスプレイがあったら注目してほしい。捕手はマスクを被ったまま、身体を小さく固め、走者の勢いに負けない体勢で身構える。それは大リーガーが「駆け抜けて良い本塁」へ全速力で向かってくるからであり、そこでマスクを外して本塁を隠していたならば、吹き飛ばされるのは当然である。だから捕手はマスクを被ったまま「ブロック」して身を守るのである。
本塁の場合はタッグプレイが多いため「捕手のブロック」の概念が生まれたと思われるが、「タッグ」は触れただけでも「アウト」に出来るのであるから、身体全体を使ったブロックは危険なだけであり、逆に行き過ぎたブロックは「オブストラクション(走塁妨害)」の対象であるように思うのだが、如何に。

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