ルールブックの章立ての中で、「人」に関する項目が4つある。
その「4人」は「打者」「走者」「投手」そして「審判員」である。野球は8人の野手と投手から成り立つと言われているが、「野手」に関する項目はない。
これは、『BASEBALL』という競技の成り立ちから考えると、至極当然のことである。
日本では「野球は投手が投げて始まるスポーツ」とされているが、BASEBALLは「打者が打って始まるスポーツ」としてルールが整理されているからである。つまりBASEBALLは【打つ】スポーツである。その理由のひとつとして、ルールブックに登場する「4人」の順番は「打者」「走者」「投手」「審判員」となるのである。つまり、点取りゲームと言う事なのであろう。野球の基本とされる「守備」については、「打者」や「走者」の項で「妨害」として記載されているに過ぎない。これは、記録の面からも「打率」と「守備率」を比べれば納得がいく。「打率」は3割で強打者となり、「守備率」は9割でも名プレイヤーとは言われない。つまりOUTとできる打球をOUTにするのは当たり前だということなのであろう。これでは「ゲーム」としてはつまらない。狩猟民族であるアメリカと農耕民族である日本の思考回路の違いが、打撃と守備の比重を変えているのかもしれない。
ルールブックの「打者」に関する章には、以下の10項目が書かれている。
?打撃の順序、?打者の義務、?打者のポジション、?打撃の完了、?打者がアウトになる場合、?打者の反則行為、?打撃順の誤り、?打者が安全に走者となる場合、?打者が走者となる場合、?指名打者
このうち、分かっているようで全く無視されていると思われるのが「打者の義務」である。
「打者の義務」とは(a)打順がきたら、すみやかにバッタースボックスに入って、打撃姿勢をとる。(b)投手が投球モーションを始めたら、バッタースポックスの外に出たり、打撃姿勢をやめることは許されない。(c)バッタースボックス内で打撃姿勢をとらない場合は「ストライク」を宣告する。
要は、『打順が来たら、さっさとバッタースボックスに入り、打撃をしなさい。その義務を怠ったら、ストライクだよ』ということである。
球審をやっていて困る事のひとつが、「打順が来ているのにすみやかにバッタースボックスに入らない」打者が多いことである。それに加えて、「一球ごとに打席を外す」打者しかいないことである。少年野球からのなごりなのか、とにかくベンチを見る。ベンチを見るためにバッタースボックスを外すのである。先頭打者や走者がいない状況でも同じである。このような状況で、ベンチの監督やコーチはサインを出すのであろうか。
野球という競技は、非常に不公平な競技である。どんなスポーツでも、違う人数がフィールド上で競い合う事はない。ところが、野球は打者一人に対して、守備側は9人いるというアンバランスな競技である。打者はチームを代表して、1kg近いバットを持ちバッタースボックスに打撃をするために入るのであるから、その義務をまっとうしてほしい。
毎年の事であるが、バッタースボックスから平気で足を出してしまう打者が多いことには閉口する。
一球ごとに指示を出しておいて「集中しろ」も可笑しな話であると思うのだが。この辺りに原因があるのであろう。

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