タイミング

2007年4月21日
審判の判定はレアケースを除くと、ジャッジメントに迷う事はそう沢山あるわけではない。一試合のうちに、「ウーン」とうなるような場面は1度か2度である。球審をしていても「ストライク」と「ボール」の判定で躊躇したり、迷走したりするケースはそう多くはない。確かに審判員を始めたばかりの頃は、自信のなさから、周囲にどう見られているかが気になり、それが迷いにつながったりしたが、「自分がジャッジをしなければ、ゲームが止まってしまう」と考え出し、「せっかくなら、演出するつもりで楽しもう」と思うようになってからは、たとえ迷ったとしても後を引かなくなった。それは、反省をしないという意味ではなく、野球と言うスポーツはそういうゲームであるという悟りに近い。
技術的なヒントは、以前にも書いたが『セーフは早く、アウトはゆっくり』という【タイミング】を身につける事であるが、言うは易しでこれがなかなか出来ない。コールは「ゆっくり」と考えていると、「セーフ」のタイミングが遅れてしまう場合が結構ある。「セーフ」の場合は、その後のプレイがインプレイであるから、事情がややこしくなる事が多い。
例えば、二死走者二塁の場面で三遊間深い位置にゴロが飛び、一塁が際どい場面の判定で、「アウト」であれば「チェンジ」となり何事もないが、「セーフ」の場合は二塁走者が本塁を突く場合がある。野手は「アウト」で「チェンジ」と思い込み油断した時に「セーフ」となると、その後のインプレイに対処できない事がある。
このケースでの「セーフ」は、打者走者の足が送球より早いか、一塁手がジャッグルしたか、一塁手の足が離れた場合などであるから、『一度セーフとした判定が、絶対にアウトへ覆ることはない』のであり、つまりセーフだなと思った瞬間に「セーフ」とコールして良いのである。
逆に「アウト」を早くコールした場合は、間違いが起こりやすい。抗議が大好きな監督の餌食となるのが、このケースである。いわゆる「誤審」なのであろう。実際には誤審はありえないのであるが。それは別の機会に譲るとして、同じケースでの「アウト」は、打者走者の足が一塁ベースに触塁するよりも早く、一塁手が送球を正規に捕球した場合である。もちろん、一塁手の足はベースについていることが前提である。これらの条件をすべて満たした時に、初めて『アウト(今年からHe’s OUTである)』とコールできるのである。正規の捕球であるから、いわゆる「お手玉」や「抱え込む」ような場合は『ジャッグル・ザ・ボール』となる。一塁手の足が離れていれば『オフ・ザ・バッグ』となる。この条件を確認するには、時間が必要であり、そのタイムラグが、「アウト」コールにとって、程よいタイミングとなってくれるのである。
ジャッジは、決して慌てる事はない。「セーフ」は「アウト」に変わることがないのであるから、見たままをコールすれば良いし、逆に「アウト」は条件確認をしてからコールすれば良いのであるから。

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