サイン

2007年2月25日
審判をやっていて、一番やってはいけないことのひとつに、「試合を観戦してしまう」という行為がある。好投手のピッチングに見入ってしまったり、強打者のバッティングを観察するように見てしまうことである。また、好試合の流れに、審判自身が酔ってしまったりすることもある。当たり前であるが、本来、審判員はどちらのチームにも肩入れすることなく、平素な気持ちでジャッジしなくてはならない。ところが、「試合観戦」をしてしまうと、一野球ファンになってしまうのである。審判室に居て、試合の流れを見ながら、解説者になるのは構わないが、グラウンドに出ては、その行為や思考はまずい。審判をやり始めた当時は、良く「試合観戦」をしてしまい、先輩諸氏に苦言を言われたものである。そこで、試合前には毎回、「先入観を持たない事、流れを自分で予測しない事」を肝に銘じている。特にシニア野球では、大人の判断とまったく違う動きをする選手が多々居る。それは、技術の未熟さや、経験の浅さから来るケースがほとんどである。それに対応するには、目の前で起きているプレイに集中する事しかない。
しかし、そこは「野球好きの中年親父」がやる審判員である。肝に銘じていても、ついつい「野球観戦」に興じてしまう。特に主審などをやると、目の前で多くのプレイが展開されるわけであるから、野球好きにはたまらない。戦略を駆使するチーム同士の試合などは、本当に面白い。主審をやっていると、選手の一挙手一投足で、その後のプレイを予測できたりする。走者とか、打者の素振りから「何かサインが出たな」とか、捕手や野手の動きや投手の目配せから、「サインプレイをやるな」とかが手に取るようにわかるものである。
最近は「これも審判の特権だ」と思うようにしている。選手諸君も、色々な所に目配せをすることで、試合を読めるようになると、別の野球の面白さを発見できるだろう。是非とも、試してもらいたい。

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